「…ザックス。」

クラウドが親友の名を呼ぶ。
応えようとして上手く言葉が出ない。ザックスはバスターソードを構えたまま唇を震わせた。
大事な人から託された剣が久しく重く感じる。この剣に託された思い、それをザックスは全て背負うと決めた。それなのに、今再び親友へと向ける切っ先。迷いは捨てよう。そう、思っていたはずなのに。

「無事でよかった…」
「…クラウドッ」

声にしたら震えた。クラウドが構えた剣を水平に構えなおす。同時にバッツが給水塔の上から飛び降り、ガンブレードの切っ先をザックスに向けたまま地を蹴る。

…来るッ

ザックスが構え、ナナキもまた姿勢を低く取り攻撃の態勢を取る。ジタンは戸惑いながも、先日装備したばかりのマテリアへと意識を集中させた。

ザックスが駆けだす。戦いが避けられないのなら…。

「無理やりにでも、話し聞かせてもらうぜ!」

石畳をザックスのブーツが蹴りあげ舞う粉塵。ナナキの尾が揺れ、ザックスの横を通り抜けてバッツへと襲いかかる。

「…弾けな!」

バッツの声が聞こえた瞬間、ジタンが顔を上げ叫んだ。

「避けろ!!」

ナナキを巻き込み、バッツを中心に弾丸が弾け爆発が起こる。爆風にナナキの身体が後方へと吹き飛ばされた。
咄嗟に宙で回転し体制を立て直すナナキと、爆風をバスターソードでかわしながらバッツへと切りこむザックス。

爆風で視界が悪い中、ザックスの瞳がバッツを捕らえた。瞬間、剣と剣が交わり散る火花。

「クラウド!」

剣をかわす二人の横をジタンがダガ―を構えたまま駆け抜けて行く。その先には給水塔の上でマテリアを装着するクラウドの姿。

「…星よ」
「やめろーッ!!」

クラウドが切っ先を空へと向け、数度振る。そうして、それを振り下ろす。

「降り注げ」

バッツは僅かに唇の端を上げるとザックスの剣を弾き返し、後方へと飛び退く。
ジタンがクラウドへと掴みかかるその前に、空から星が降り注いだ。それは大地を壊しながらザックスやナナキ、ジタンをも巻き込む。

「ナナキ、ジタン!!」

その場に倒れ込む二人の姿にザックスは一瞬気を取られた。その僅かな隙にバッツの剣が襲いかかる。

「そこまでだッ!!」

バッツの剣を受け止めたのは一筋の風。それは給水塔の上で魔法を唱えていたクラウドの脇をすり抜け、給水タンクへと突き刺さる。そこから溢れた水が勢いよくクラウドへと降り注いだ。

それを見た瞬間。バッツと、クラウドの顔色が変わった。
いくつもの武器が彼を中心にふわりッと浮き上がり、構えた弓は光を放つ。

「二人とも、どういうことだ?」
「…フリオニール?」
「あっちゃー…」

そこには、鬼の様に怒った形相で立つフリオニールの姿があった。



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