ワンピース

□朝には御用心!!
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ローさんに名前で呼べと言われた翌日。

今日も海は静かなようです。
私はうーんと伸びをしながら食堂に向かうとキャスケットとベポが神妙な顔をして立っていた。

「キャスケット、ベポ?」

声をかければ二人は私に気づいて顔をあげた。

「おぉ、はよっナギ」

「おはよー、ナギ!!」

「おはよう、どうしたの神妙な顔をして?」

二人はフウッと息をはいてから互いを見合わせていた。

「あのね、朝ご飯の時間なんだけどキャプテンが起きて来なくてー」

「ローさんが?」

「そうなんだ。船長は朝が弱くてなー。起こしに行くとバラされちまうんだ」

バラされるって(汗)

「…ソラみたいだね」

私の片割れは今もぐっすり眠り続けている。キャスケットはソラと聞いて頭をガシガシかく。

「どっちもどっちだな。ソラは悪魔だが、船長は魔王だ」

「だから、誰が起こしに行くか決めてたんだ」

どれほど悪いんだろう。
いや、ソラと変わらないほどだなんて……。そういえば、悪魔と魔王って対して違いがないんじゃないか。

「そ、そうだ!!ナギが行ってきてくれないか?」

突然思いついたようにキャスケットが叫んだ。

「私が?ローさんを?」

「ナギはソラの事もあるから慣れてるだろ?」

「まぁ、確かに…」

ソラの寝起きを昔から体験してきた私には耐性があるけど、やっぱり少し恐いよね。

「頼む!!俺達を助けてくれ!!」

手を合わせて頼み込むキャスケット。ベポは慌ててキャスケットを掴んだ。

「ダメだよ、キャスケット!!ナギがバラされちゃうよー」

「いや、なんつーかナギなら大丈夫な気がする」

「…その心は?」

キャスケットの言葉に私が問いかけると彼はグッと親指を立てる。

「勘だ!!」

ものすごく誇らしげに言う彼に、ベポはポカンとしていた。

「…分かった。行ってくるよ」

「いいのか!?」

ビックリしているキャスケットとベポに私は頷く。

「うん、いいよ。ローさんを起こしに行ってくればいいんだよね」

「でも大丈夫かなぁ」

「大丈夫だよ…………多分ね」

最後、曖昧になっていく私の言葉。
そんなこんなで私がローさんを起こしに向かう事にした。


「あれ?そういえば…」

「どうした、ベポ?」

「ナギっていつからキャプテンを名前で呼びはじめたんだろ」

「はっ?」

ベポの疑問に答える者は居なかった。



私はローさんの部屋について扉をノックするが、返事はない。
いや、まあ寝てるから返事はないのは分かってたけど。
何回かノックしてみたけど答えがないので中に入ってみる。ベッドには山ができているのでローさんはまだ眠っているみたいだ。
私は近づいて窺うとローさんがスヤスヤ眠っている。彼の肩に手をのせてゆする。

「ローさん、朝ですよ。起きてください」

起きる気配がないのでもう少し強めに肩をゆすり、声を大きくした。

「ローさん!!朝です、起きて下さい!!」

声をかければローさんはゆっくりと目を開いた。
開いたままじーっと私を見てくるので私はニコリと笑う。

「おはようございます、ローさん!!」

ムクリと起き上がった彼は私を再び見ると額に手をのせた。

「……ああ」

「大丈夫ですか?起きてますか?」

「ああ」

「ローさん、朝ご飯食べれなくなりますよ」

「あぁ」

同じことしか言わない。……もしかしなくても寝ぼけてるよね。

「ローさん?」

「……ナギ」

声をかけると名前を呼ばれた。しかもかなり低い声で。ローさん、声がかっこよすぎるのでドキドキしちゃう。

「はい?」

返事をすればローさんは私の腕を引っ張り、ベッドに押し倒した。上から被さってくるローさんは私の腕を押さえつけてくる。

「ロ、ローさん!?」

返事もしないローさんは私の首筋に顔を埋める。
ぬるっと何かが這う感じがして舌で舐められたのだと理解した。

「ふぁ、ちょっ!!」

さらに首筋を強く吸われてビクリと体が震える。腕を押さえられているので逃げることができない。

「んっ、……ローさん!!」

大声をあげるとピタリと動きが止まった。顔を上げたローさんは先ほどとはどこか違うようだ。ローさんは私の顔を見て、押さえていた手を放してくれた。


「………あぁ、ナギか」

「ナギか、じゃないですよ。いま完全に寝ぼけてましたよね」

私は起き上がるとローさんはベッドに腰かけた。

「そうだったか」

普通にしている彼とは反対に私の心臓はバクバクしている。彼の寝起きはある意味危険だ。
私はそれを誤魔化す様に笑って、

「ええ、そうでしたよ。とりあえず起きて下さいね」

軽く額を押さえたローさんはベッドに座る私を見て目を細めた。

「…お前が起こしに来たのか?」

「??そうですよ。ダメでしたか?」

「いや、そうじゃない」

何か考えている彼は私の首に手を添える。そこは先ほどローさんに吸われた場所で恥ずかしくて思わず目線を外した。彼はそこを指で撫でた後、首にかかっていた私の髪を弄りだした。

「ローさん?」

「…なんでもない」

「変なローさんですね」

私の髪を耳にかけるとローさんの手は離れていった。
それを少し、ほんの少しだけ寂しく感じてたのは気のせいだ。

「ナギ」

ベッドから降りて立ち上がるとローさんに呼ばれた。

「はい?」

「…おはよう」

ベッドに腰かけ見上げてくる彼に私は笑いかける。

「…!!はい、おはようございます!!」

立ち上がるローさんに朝食ができている事を伝えて部屋を出る。
部屋を出た途端にまたドキドキしてきた。
男の人に耐性はあるけどあんな風にされたのは初めてで………。昨日もそうだけど、あの人といると心臓がいくつあっても足らない気がする。

私はローさんが来る前に食堂に向かった。



(おい本当に船長が起きてきた!!)
(ソラより早いぞ)
(誰だ、船長に賭けたのは!!)
(てめぇら……)


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