SHORT NOVEL
□NECROPHILIA
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─…‥NECROPHILIA
──ガチャリ
扉が開く。
──…キラ?
獲物が来る。
──…アスラン…
名前を呼ぶ。
───罠を、張る。
透き通った瞳は、もう歪んで濁った僕を映さない筈なのに。
まだ映ってしまうのは何故?
「なんだ、用って…?」
透き通った声は、既に浅ましくずる賢い僕には聞こえない筈なのに。
まだ脳裏に響くのは何故?
真っ赤に染まった夕焼け空は灯りもつけないこの部屋にいる二つの影を長くする。
何も話さない僕にしびれを切らしたのか、アスランは扉のそばから歩いてきて僕に近付いてくる。
「…どうした?何かあったのか?」
本当に透き通った声で。綺麗すぎる声で。
─ねぇ、うるさいんだその声。
「キラ?」
─ねぇ、見苦しいんだよその眼。
「……アスランは、さ」
やっと招いた本人が喋ったからかアスランは安心したのか、目を細めて首を傾げる。
「…僕が、アスランの事好きって言ったら、どうする…?」
するとすぐに苦笑された。
「まぁ……嬉しいかな。」
あぁ、やっぱり君はそう答えるんだね。ホント、君は全く成長していないんだ。
「じゃあ、僕がアスランの事誰よりも愛してるって言ったら?」
「…そこまで想われていたなんて考えられないけど、やっぱり嬉しいかな。」
──あぁ、なんて酷い言葉。やっぱり君はまだまだ子供。
僕は即座に彼の顔を両手で包んでこちらに向かせた。
いきなり僕の、それもこんなあだっぽい仕草に驚いたのか、彼は目をまん丸く見開いた。
本当に君は素直だね。素直すぎてむしろ残酷だよ。
そして、そんな君に捧げる永遠への一言。
「愛してる。」
「───ぇ…」
「愛してるよ、アスラン。」
うっとりと呟けば、ホラ、君はもう罠にひっかかる。
驚いたまま身動きすらしない彼を引き寄せてそっと抱きすくむ。
「───キ、キラ…っ」
「アスランは?」
「ぇ…?」
「アスランはさ、僕の事好き?愛してる?」
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