SHORT NOVEL

□AQUATIC LOVERS
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ぷは、と長く潜水していた顔を水中から出す。その際はじける水飛沫の音と、圧迫から解放される息吹が、気持ち良い。体中流されて新しく生まれ変わったみたいだ。
どれくらい泳いだかと見渡せば、先程のサイドから随分と離れた、ちょうどプールの中心辺りにいた。
周りには何もない。
あるのは冷たくて温かい、キミ。
そんな君に遠くから名前を呼ばれた。

「──アスラン!!」

振り向けば、銀髪を結いまとめたYシャツ姿の君。
あぁ、君の声はどうしてそんなに冷たくて鋭いの。
声も姿も温もりも、良い意味で俺を刺激してのたうたせる。

白亜の邸宅からやってくる彼に笑顔を向け、また水中に潜った。プールサイドまでまた一気に泳いで顔をあげた場所に、屈んだ彼がいる。

「なんだ、気持ち良いのか?」

イザークは水滴る俺の頬にふれて撫でてくれた。
俺にはそれには答えずにイザークの腕を掴んで水中に引きずりこむ。
バシャン、と派手な水音が鳴り響く。

「──つッ冷たい!!貴様何する!」

顔を出して雫の染みた鋭い瞳を向けながら相変わらず怒鳴る彼に意地悪く笑って、俺はイザークに口付けた。

びしょぬれで味わう、君の味。
水と共に、もっと俺を感じて。



冷たい?そうだよ、水は冷たいんだ。

でもホラ、慣れると温かいじゃないか。

誰かさんにそっくりだろ、イザーク?



俺達は水中住み着く恋人。




END‥*
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