SHORT NOVEL
□洗濯物
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アスランは本当にびしょ濡れで。
柔らかな藍色の髪が細かい雫を滴らせていたのはまだ良い。
問題は、そのセーラー服だ。
「………‥ッ‥!!!」
シンの固まった視線の先には、濡れたセーラーが透けた、今日は水色らしい、アレ。
とりあえず、自分の状況を理解して下さいアスランさん。
貴女先輩として尊敬しますけど女であるという自覚無いでしょう。
「ア、アスランさ…」
「シン、悪いけどこれ持ってて。」
はい、はい、とアスランは構わずにシンに濡れた学生鞄やら紙袋やらを渡して、我が物顔で玄関に座り込み、ギューッと制服の裾を絞った。
隙間から見えるのは、年上の女の子の、玉の肌。
「っぁああアスランさんっ!!ちょっと待ってて下さい!」
「ふぇ?」
学生鞄と紙袋をその場において、ばばばっと走り、風呂場からバスタオルを取ってクルリとUターンダッシュ。
「とりあえず拭いて下さい!!!」
ぱふっとアスランの上にかぶせると、白いバスタオルをぬくぬくと感触を楽しみだして「あったか〜い」なんて幸せそうに言い出したから、じゃあ俺が温めてやるよとかキモい事考えちゃって、あぁ、やっぱり男ってつらいよね、寅さん。
「……っくちゅ!!」
・・・くしゃみ?
「───っ…もうアスランさん風邪ひきますから風呂入ってきて下さい!」
「あ、いーの?」
「風邪ひかれる方が困ります!」
「本当?じゃあお邪魔しまーす!」
濡れたままは上がれないからと、そこで靴下を脱いでしまうアスランに、シンはもう理性ぷっつんギリギリ前。
「っあぁ〜〜早く行って下さい風邪ひく!!」
バスタオルを被ったままでセーラー透け透けで生足丸見えなアスランをできるだけ目に入れないようにどうにかシンは風呂場に行かせた。
どーもー♪とか嬉しそうに言うアスランを見届けて、そしてやっとシンは息をはいてへなへなと廊下に座り込んだ。
ぁ、洗濯物とりこみっぱなしだ。
あぁでも、なんかもう今は良いや。
──なんかすっげー厄介な洗濯物を取り込んだ気がする。
・─・─・─・
「はぁ、サッパリした、シンがこんなに気が利くなんて知らなかったよ、ありがとう。」
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