SHORT NOVEL

□キャラメルマキアート
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寂しいよ
虚しいよ
悔しいよ
君は今、俺じゃない誰かときっと


会社からの疲れた帰り道。
いつも一緒に飲んでた甘いキャラメルマキアート。
いつもそこにあった、君の優しい顔。
何気ない言葉、他愛ない話。
幸せだった、永遠の時間。
もう1回だけ期待したくて送ったメール。

『今日の5:00、いつもの場所で』

短い、たった1行のメール文。

自惚れてたって笑って良いよ。
きっとまだ信じていた、彼が自分を好きでいてくれてるということ。

集い集まる恋人達は、明るい夜へと消えてゆく。
手と手を絡ませて、幸せそうに。
────幸せそうに


時計の針は5:05。
半分まで飲んだキャラメルマキアート。

全てを飲み干したら、全て忘れよう。
白いミルクに溶け込んだマキアートの様に。

メールはちゃんと届いた?
君は何してるの?
俺じゃない誰かと一緒にいるの?
もうここには来ないの?
俺はもう必要ないの?

涙で苦くなったキャラメルマキアート。
潤んだ外の景色。
きっと、静かに幕をおろした、俺達。




全て飲み干したら、全て忘れよう。

後、一口で、全て忘れよう。
俺から離れていった君を、忘れよう。




マグカップに口をつけた、その時。


肩が、たたかれた。




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