緋桜恋愛遊戯A

□第四十五話
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潜んでいる。
奴が江戸に…?
聞いただけで、確かな確信がない。
そんな情報聞いていない。
だけど、奴を捕まえるには十分な情報かもしれない…。


第四十五話



「永倉…本当なのか?」

「はい。間違いありません。派手な着流しに包帯。間違いなく高杉でした」

起き上がっている永倉に問掛けると、瞳に自信を宿しながら答えが帰ってきた。
暗かったから…とは言え、刀を交えあった。近距離で見たのだから、間違うはずがない。
だけど、知っているのは顔と、過激派壤夷と言う事だけ。
あちこちでテロを起こしている凶悪犯と言う事だけ。それ以外は、はっきりとは分かっていないのだ。
土方は近藤と視線を合わせると、伺うように問掛けた。

「近藤さん…どうするんだ?」

捕まえるか捕まえないかではなくて、いつ捕まえに行くか…と言う意味。
今すぐに行きたい。だけど、仲間がこれでは、行くに行けない。
自分達がいない時にもしもの事があったりしたら、目覚めが悪いし、後悔が残るに決まってる。
少し考えてから、近藤は腕を組ながら答えた。隣の部屋を一瞥し、視線を土方に向けた。
考える必要は本来はないのだろうが、状況が状況だけに焦らなくても大丈夫なのだ。

「捕まえるしかないだろう。だけど、今は無理だ。二番隊がこんなんじゃぁー…。それに皆二番隊の事が心配だろう」

今は仕事に集中出来ないだろうから、二番隊を見守る方が先決。
助かるかも解らない仲間を放って行くのは、近藤には無理な事。
誰よりも優しくて、誰よりも心配性で…。
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