緋桜恋愛遊戯A

□第四十七話
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「二番隊隊士。峠を無事に越えましたの事。後は医師に任せれば心配ないそうです」

助かった。
夕方になって、ちゃんと峠は越した。
これだけ待っていて、耐えられれば大丈夫だろう。
もう、心配はいらないそうだ。

山崎の発言を受けた瞬間、隊士全員が歓喜の声をあげた。
大袈裟に喜ぶ隊士。静かに喜ぶ隊士それぞれ。
誰一人として犠牲にならなかった事を、神に感謝した。
そして、近藤、土方、沖田も同様に喜んでいる。

「良かったな…近藤さん」

「あぁ、良かった」

真選組から、犠牲なんて出してはいけない。
近藤さんが守ろうとしている真選組から、犠牲なんて出せるない。

悲しむから…。
一番、此処を愛している人が、一番に悲しむから…。

犠牲なんて出したら…。
死者なんて出したら…。
近藤さんの笑顔を見れなくなる。
人懐っこい笑顔を拝めなくなる。

笑顔を守る為に…。
近藤さんが此処を守っている様に、隊士皆で近藤さんを守る。
唯一の大将を悲しませない様に、守っていくまでだ。

真面目だった表情をクシャリと崩して、近藤さんは笑った。
無邪気な笑み。昔から全く変わっていない。
近藤さんの笑顔をみて、安心した土方は、山崎に真剣な眼差しを向けた。
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