Magic Law
□‡真実の扉U‡〜疑惑〜
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「さぁ、どうぞ」
依頼者である柏倉氏の一言に思わず固まるロージー。
どうぞって…
身仕度を終え、事務所から出てきた一行は今、いつも通りの殺風景な景色を目の前にする
…ハズであった。
というのも今は「殺風景」などと言う言葉が似合わないモノがここに存在しているからなのだが。
それも、二つ…いや、
「二台」。
「む、むむむむムヒョっ……!」
すでに回らなくなった舌で、必死に語り掛けるロージー。
「ぼっ僕…はじめて見たよ………!!」
これが噂の、という言葉をムヒョが引き継ぐ。
「高級車ってやつだなコリャ……それも世界一の。」
ごほごほ咳き込みながらもヒッヒ、といつもの笑みを忘れない。
そう。
今二人の目の前には、巷で言うところの高級車、黒塗りのベンツが、その光り輝く美しいボディを静かに休めている。
そしてその後ろには…
世界の認めた高級車の中の高級車、かの有名なロールスロイスがこれでもか!と言うくらいにその、神々しいほどの存在感を放っていた。
素人目にもわかるその高貴な出で立ち。
美しい装飾品の数々は細かく細部にまで及んでおり、さらに高級そうな雰囲気を醸し出している。
生まれて初めて目にするそれらに、車の知識など微塵も持ち合わせていないロージーですら、感動からか微かに身震いが。
「…乗らないのかい?」
数秒ではあったものの、硬直してうんともすんとも言わないロージーに、柏倉は困ったように問い掛けた。
「……えっ? あ、いいえっっ!乗ります、乗りますッ!
是非とも乗らせてくださいていうか僕なんかが乗っちゃってもいいんですかこれ!?」
パンク寸前のためか物凄い早口で問うロージーであった。
「え、あ、ああ。もちろん」
つられて早気味にで答える。
まるで新人漫才芸人を見ているような二人であった。
「……どうぞ」
「え」
いきなりの顔前で発せられた言葉に素直に驚くロージー。
見れば細身の男が、ロールスロイスの後部座席のドアを丁寧に開け、こちらにお辞儀している。
スーツ姿がよく似合う、少々つり目気味の男だ。
どうやら社長付き専属運転手らしい。
「あ、ありがとうございます……」
少々挙動不振気味のまま、ぎこちない動作でロージーが、続いてムヒョが車に乗り込んだ。
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