Magic Law
□‡真実の扉V‡〜出会い〜
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ようやく一行が事件現場である柏倉の別荘についたのは、日が傾きはじめた午後3時。
「う、うぁ…」
ロージーの口から感嘆の声が漏れる。
「近くで見るとやっぱり…」
顔前にそびえ立つ別荘を見上げ、
「おっきい………!!」
走行中、別荘が見えてからずっと疑問に思っていた。
車で近づけども近づけども別荘の大きさが変わらなかったのだ。
遠近法を覆すその大きさにただただ圧倒されているロージーに、運転手が一枚のメモを手渡してきた。
「まずはこれ、社長から。もしものときの連絡先が書いてある。なんか困ったことがあったらここにかけろ。ケータイは持ってるだろう?」
「あ、はい!ありがとうございます」
少し心強くなった気がした。
柏倉氏の優しさに感謝しながら、少し心配そうに車に乗り込む運転手に手をふるロージー。
「なにかあったらすぐ大人にたよるんだぞ─!絶対に自分達だけでどうにかしようとするなよ!!」
発進させた車から、ふもとまで下れば民家がある、とか退くも勇気だ、とか運転手が叫んでいたのが聞こえなくなるまで見送った。
なんだかすごくいい人だったなあ…
(ぼくら最後まで子供扱いだったけど…)
そんなことを思いながら別荘に向き直ると、隣でムヒョがひどく咳き込んだ。
「ムヒョッ!大丈夫?!」
慌ててかがみこみ、その背中を軽くたたく。
するとムヒョは無言で別荘の正面玄関へと歩み出してしまう。
「えっ、ちょ、まって」
その後を追うロージー。
その間にも、ムヒョはノックもなしにその大きな木製の扉を軋ませながら開き、中へと入る。
「ムヒョ!早いって…」
必死でついてくるロージーに背を向けたまま、黙々と歩き続けるムヒョ。
再びつきあたりのもう一つの扉をゆっくりと開ける。
少し狭い廊下をぬけると、そこは広い階段ホールだった。
深紅のふわひわした絨毯が敷き詰められ、高い天井にはこれまた高級そうなシャンデリアが吊されていた。
「もう…闇雲に入ってきちゃったけど、大丈夫なの?」
痺れをきらしたロージーが困ったように問う。
「ヒッヒ、闇雲…?」
くるりと振り替えると、熱で赤い顔にいつもの笑みを浮かべている。
そう、それはすでに熱打たれた子供ではなく……執行人・六氷透の顔だった。
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