Magic Law

□‡真実の扉V‡〜出会い〜
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「こっからは別行動だ」



ムヒョのその唐突なことばに、しばしロージーの思考が止まる。

(え…)

「少し気になることがあってナ…。」

調べるには一人の方が動きやすい、と続けるムヒョの手には魔法律書。

「オメェも札の用意くらいしてけよ。いつ何時適さんがでてくるかわかんねェぞ…ヒッヒ」

少々意味深なその言葉に、さらにロージーの頭は混乱する。

「いや、それはそうだろうけど…

…ムヒョ、身体平気?」

「フン…こんなの熱のうちに入らねェ」


またそんな強がって…!!


そう言い掛けたが、やめた。

きっとムヒョには何か考えがあるハズ。


そう思った。



「…わかった…。
本当に無理、しないでね…?」

本日二度目のその言葉に目だけで答えて、ムヒョは正面の一番広い大階段を上がりその奥へと続く扉の中へと消えていった。





一人きり、だだっ広いホールにたたずむロージー。

(あれ、そういえば…ここって…)

冷たいものが背中を伝う感覚がする。

「おばけ屋敷みたいで恐いよぉ……!!」


ムヒョの体調を気遣うあまりに忘れていたが、最近改装したとはいえ、もともとが古いこの建物はかなり不気味なのであった。

おまけにおばけ屋敷「みたい」…というか本物が出る。

ムヒョがいなくなった今、ロージーの恐怖は肥大していく一方なのであった。


「こっ…恐い…!半端なく……!」

人間とは不思議なもので、実際に口に出してしまうとさらに、その感情は強くなる。




──ガタンッ

「ひっ!?」


突然後ろから聞こえた物音に驚き、もんどりうってその場に倒れるロージー。


…と、程なくそこから黒い猫が、「にゃあ」と可愛らしい鳴き声と共に出てくる。

「な、なんだ…猫か…」

びっくりしたぁ…
と胸を撫で下ろす。



…が、ここで気付いた。



「なんでこんなところに猫が……?」

見ればなかなか美しい猫だ。漆黒の毛並みは上等、大きなブルーの瞳はまるでサファイアのような輝きを放っている。

首輪をしているあたり、飼い猫だろうか。

「ここで飼われてるのかな……?
……あ、あぶないよ!こっちへおいで。」


ここには人をさらう危険な霊がいるのだ。

心配になったロージーが呼び止めるが、猫はムヒョが入っていった扉の右横の扉を器用に開けてするりとその先へ行ってしまう。


慌ててその後を追いかける。




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