Magic Law
□‡真実の扉W‡〜迷宮〜
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────どうしよう。
今、頭に浮かぶのはその一言のみ。
ムヒョと別れ、別々に屋敷を探索していたロージーは今、非常に混乱していた。
後ろを降り向けは、広がるは美しい花々の敷き詰められた広大なバルコニー。
前に向き直ればそこには広くて長い長い廊下と無数の階段、扉、階段、扉……。
…この状況は、つまり。
「ま、迷子になっちゃったよおぉ〜!!」
半泣きしながら叫んでも、人の気配なんてまるっきりない。
──そう。
ロージーはここまで黒い猫をたよりにやってきた。
追い掛けるのに夢中で、すっかり自分の現在位置を確認するのを忘れていたのだ。
要は「迷子」というやつである。
「まさかこの年になってまで迷子になるなんてッ……。」
情けないよう、と再び涙ぐむ。
先程の少女のことがどうにも気になったロージーは、早くムヒョに話そうと今来た道を戻り、彼と合流しようと考えた。
……その矢先の出来事である。
一陣の風と共に消えた、あの少女。
彼女の言葉が頭に浮かぶ。
ここにいると、痛いになっちゃうよ....。
…今ならはっきりと思い出せる。
一体どういう意味だったのだろう?
「……って、今考えてたってしょうがないか……。」
はあぁ、と深いため息をつくと、再び正面の長い長い廊下を見る。
あまりにも長すぎて先が見えない。
「……いつまでもここにいるわけにもいかないよね」
自分で自分を励ますロージー。
頬を両手でぱちんと叩き、気合いを入れる。
「よーし、とにかく歩くぞー!」
そう叫ぶと、元気よく歩きだす。
いざとなったら、今日はボクがなんとかするんだから……!!!
そんな思いを秘めながら。
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