Magic Law
□‡真実の扉[‡〜決戦『知』〜
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「さ、着いたよ」
屋敷の書斎から続く薄暗い通路の終りを指し示ながら、柏倉氏が小声で呟いた。
霊の高等テクである「あやつり」により、正気をなくしている使用人達に追い詰められた時、柏倉氏の機転によって開かれた隠し通路の出口である。
すっかり眠ってしまったムヒョをおぶさりながら、柏倉に続いてようやくロージーもその光射す空間に出た。
そこは決して広くはないが、やはり美しい作りの小部屋であった。
「一応、客間だよ。 さっきの部屋からは大分離れたハズだが……」
説明しながら、柏倉は屋敷の地図を広げる。
「いえ、とりあえず離れられたなら……。 助かりました」
話ながら、ムヒョをそっとベッドへ下ろす。
「やはり彼等は、我々を見逃す気は無いようだね。」
「問題はそこですよね……」
先程の猛攻を思い出し、ロージーは思わず身震いした。
「このまま隠し通路で近くまでこっそり行くっていうのは?」
「僕もそれ、思ったんですけど……」
ロージーは昼間のムヒョの言葉を思い出す。
「隠し通路は狭いですし、いざって時に逃げ切れない可能性が高いんです」
「……なるほど」
暫し気まずい沈黙が流れた。
「……でも、まあ」
柏倉氏に向き直る。
「とりあえず、やるしかないですよね」
少々引きつりながらもロージーは精一杯の笑顔を浮かべて見せる。
つられか、柏倉も思わず笑みがこぼれた。
「ははっ、それもそうだ」
こうして3人(そのうち一名は睡眠中、もう一人は老人)vs100人の、壮絶な戦いが幕を開けたのである。
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