小草子

□鬼灯
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2年前
『お助け・・・お助けを・・・』

「・・・」

「「「きゃーっ!」」」


・・・ごほん。
あれから1年。かごめは3人娘と、都内のお化け屋敷に来ている。
お盆休みもあり、人は多い。そして、ところどころに霊の姿も・・・
今一番人気のお化け屋敷。そこは同時に都内随一の恐怖体験スポットであり、腰を抜かす来客者が続出中・・・なところである。


(いやだなぁ)

「あぁ、怖かった」
「凄かったね」

「かごめ、大丈夫?」
「・・・っへ?あ、うん」
うーん、『なれてるから』とは口が裂けても言えないな。


それから他にも幾つかアトラクションに皆で乗り、出口近くに戻ってきた。


「あーあ、夏休みももう少しか」

「あっという間だったね」


夏休みの終わりを嘆く会話をしつつ、出口へ迎う。



「お土産に一本どうぞ」
係員とおぼしき人が鬼灯を4人にくれた。

「鬼灯?」

「お盆ですからね〜」

「おっと、あたしこっちだ。じゃ、今度は学校で」

「うん、またね」

そう言って4人はそれぞれ帰途についた。
「鬼灯か・・・」
少し若いけど、あいつの衣の色に少しに似ている気がする。戦国《むこう》はどうしているかなぁ。
一本の鬼灯はその後、かごめの部屋に大切にいけられた。

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