●学校であった怖い話●
□屋上にて
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止められない好奇心―
―その代償として僕は
屋上にて
『名無しさん―――
ここから飛び降りたら人はどうなってしまうと思いますか?』
屋上の柵から少し身を乗り出し、遥か下を見つめたまま隣の少年が聞いてくる。
『この高さならすぐに死んでしまうのでしょうか?意識は…体の状態はどうなのでしょう』
『ねぇ。名無しさん』
昼休みや放課後二人で過ごす時間決まって学校の屋上でこんな話題ばかりしている。
名前を呼んではくれるものの、彼女である私を見ようとさえしない。
昭二も最初は普通だった。
優しくて頭が良く物静かな少年。
事の始まりは最近。
二人でたまには屋上でお弁当を食べようと昼休みに屋上に出た時の事。
『暖かくなってきましたし…たまにはこうやって外でのお弁当も悪くないですね』
「そうだね♪それにしてもいい天気
…あっ!!」
柵付近に置いていた水筒に手をぶつけてしまい。
水筒は屋上からまっさかさまに落ちた―
「大変!下に人は…居なかったみたいでよかった…
ごめんね昭二!すぐ取ってくるから!」
『…………。』
「昭二…?」
彼は地面に落ちへこんだら水筒を見つめ続けていた。
それからだ
それから…もうずっとこんな日が続いている。
『名無しさん、聞いてるんですか?』
名前を呼ばれてふと我に返る。
私は別にそんな話には興味があるわけではないし、人が落ちる所なんて見たくないけれど…
「どうかな?…わかんないや」
適当に相づちを打ったりしながら、興味が尽きるのを待っていた。
また彼の瞳に私が映るのを願いながら
しかし、1ヶ月経っても 2ヶ月経っても彼の興味は尽きる事がなかった。
彼は屋上にいる悪霊に取り付かれてしまったのではないか…
そう考えるようにもなった。
元々この鳴神学園には不思議な話や幽霊の話が絶えない。
彼もその話に登場するような悪霊に見入られてしまっているとしたら。
ゾクッ―っと背筋に冷たい感覚が走る。
(そうだとしたら、もう昭二は私を見てなんてくれないかも知れない…)