四季の香
□夏
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【夏の夜と満月】
梅雨が明けると、一気に夏の天気に変わる。
毎日が晴天で、朝から太陽がギラギラと照りつけ、夜になっても、熱を大量に含んだ地面は、なかなか冷えずに熱帯夜を齎す。
寝苦しい夜が続き、何度も目が覚め、身体を纏う汗のべとつきに嫌気が差す。
ベッドから身体を起こし、キッチンに行くと、冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注ぐ。
一気に飲み干し、部屋に戻ろうとすると、カーテンの隙間から僅かに光が漏れているのに気づく。
そっとカーテンを開けると、大きなオレンジ色の大きな月が浮かんでいた。
あまりに綺麗だったので、今夜は月見だ!と、再びキッチンに向かい、冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、サンダルを履いて外に出る。
ベランダに置いてあるイスに座り、プシュっと音をたてると、冷たいビールを喉に流し込む。
外では心地良い風が吹いていて、部屋の中よりも居心地が良かった。
タバコに火を点け、深く息を吸い込む。
吐き出された煙は、ふわりと吹く風に乗って、消えていく。
周りを照らす月明かり
太陽よりも優しく静かで
まるで夜の女王のように
凛とした存在感に
私は目を奪われる
ビールをグイッと飲み、癒されるような優しい風を感じながら、月見を楽しむ。
頬を撫でる風
木々のざわめきと
虫達の奏でる音
優しく降り注ぐ月光
毎日が仕事に追われていて、自然を感じていなかった自分に、たまにはこんな時間も必要だなぁ…と思った。
そんな夏の満月の夜