四季の香

□夏
1ページ/1ページ


【夏の夜と満月】



梅雨が明けると、一気に夏の天気に変わる。

毎日が晴天で、朝から太陽がギラギラと照りつけ、夜になっても、熱を大量に含んだ地面は、なかなか冷えずに熱帯夜を齎す。

寝苦しい夜が続き、何度も目が覚め、身体を纏う汗のべとつきに嫌気が差す。

ベッドから身体を起こし、キッチンに行くと、冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注ぐ。

一気に飲み干し、部屋に戻ろうとすると、カーテンの隙間から僅かに光が漏れているのに気づく。

そっとカーテンを開けると、大きなオレンジ色の大きな月が浮かんでいた。

あまりに綺麗だったので、今夜は月見だ!と、再びキッチンに向かい、冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、サンダルを履いて外に出る。

ベランダに置いてあるイスに座り、プシュっと音をたてると、冷たいビールを喉に流し込む。

外では心地良い風が吹いていて、部屋の中よりも居心地が良かった。

タバコに火を点け、深く息を吸い込む。

吐き出された煙は、ふわりと吹く風に乗って、消えていく。


周りを照らす月明かり

太陽よりも優しく静かで

まるで夜の女王のように

凛とした存在感に

私は目を奪われる


ビールをグイッと飲み、癒されるような優しい風を感じながら、月見を楽しむ。


頬を撫でる風

木々のざわめきと

虫達の奏でる音

優しく降り注ぐ月光


毎日が仕事に追われていて、自然を感じていなかった自分に、たまにはこんな時間も必要だなぁ…と思った。


そんな夏の満月の夜






 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ