過去作品〜恋人は専属SP〜
□桂木大地〜聖なる夜に〜
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今日はクリスマスイブ。
誰もが主役になれる日。
私は部屋の飾り付けをし、お料理、ケーキ作りを頑張った。
「大地喜んでくれるかな♪」
久々に仕事がお休みの大地に逢えるのを心待ちにしていた。
すると側にあった携帯が鳴る。
ディスプレイには大好きな人の名前が写し出される。
「もしもし?」
「**?俺。」
「うん♪どうしたの?」
「今日そっちに行けるの夜になりそうなんだ」
突然の大地からの言葉。
「仕事…?」
「そんなんじゃないんだが…」
いつもと声の様子が違う大地に気付く。
「そか。分かった。夜ね♪」
平常心を装って電話を切った。
−−何か様子が変だった…。
電話を切った後も嫌な事ばっかりが頭の中を過ぎる。
ダメダメ!出掛けよう!
私はいつも頑張っている大地にX'masプレゼントを買おうと街へ出掛けた。
街はX'masを楽しむ大勢の人で溢れている。
私は良く行くデパートに足を運び、大地に似合うネクタイを探した。
−−−ドンッ
あれこれ探していると一人の女性とぶつかった。
「あっ!すみません」
「いえ。こちらこそ」
笑顔が素敵な大人の女性。
そしてその手には同じくネクタイがあった。
私はその女性の行く先を何となく見ていた。
!!!!
女性が向かったその先に、見覚えのある姿が映る。
−−−大地−−−
女性は大地の顔を見上げて笑い、大地も笑顔で返す。
私はそこから動けなかった。
今大地は官邸に任務してるからマルタイさんは居ないはず…
「これも良かったんだけど、あっちのも良かったの。来て来て♪」
女性は大地の腕を取り、こちらへ向かって来る。
「あれあれっ♪」
大地達が少しずつ近付いて来て、
私と目が合った。
大地の目がみるみる大きく開く。
どうしよう……大人…そう毅然としなきゃ…
そう思うのに、どうしたら良いのか分からない…
私は大地から目を逸らし足早に去った。
「**」
大地のその声を背中に聞いて。
玄関を開け、その場に座り込んだ。
−−信じなきゃ…
大地は私を裏切ったりしない…
そんな気持ちとは裏腹に涙は止まってはくれなかった。