藤井秀一郎総受小説
□何も変わらぬ空の下
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僕の足は仲間内の中で一番速い。学年でも割と速い方。短距離より長距離の方が得意。
その足をフルに動かしながらシュウの元へと急ぐ。 シュウにナンパ!シュウをナンパ!シュウがナンパ!
「させるかぁぁぁぁっ!」
直進コース1キロ先を左折、その少し先に両手に買い物袋を抱えヨタヨタ歩く小さな影を見つけた。
「うわぁぁ〜ん!シュウ〜!」
無事だった!良かった! 思わず唇が震える。泣きそう!
シュウは立ち止まって呆れたように眉をひそめている。
若干スピードを落としながらシュウに近寄ると力一杯抱き締めた。
「もぉっ!心配したんだよ!黙って居なくなるとか無しだから!」
シュウの頭に顔を埋めてグリグリと顔を擦り付ける。シュウのニット帽が擦れて痛かったけどグリグリは止めない。
そして、キスの雨霰。
シュウは
「あ〜…。」
と呟いてから
「落ち着こうよ。」
と続けた。