藤井秀一郎総受小説
□雨、ときどきデート
1ページ/9ページ
1
曇天の下、ダラダラと降り続く雨の中に同じ制服が飛び出して行く。
色とりどりの傘が、玄関の混雑を物語る。
俺は、人混みが緩和されるのを教室の窓から暫く眺めて待っていた。
教室には数人の生徒。俺と同じ事を考えているように、独り言のように「まだ混んでるね…。」を繰り返している。
嫌がらせのように降りしきる雨を、唯、ボンヤリと眺める俺に戸惑いながら、クラスメートの女子が話し掛けてくる。
「藤井くん…雨…止む迄どっかで雨宿りしない?」 チラリと眼をやると、忙しなく眼球を動かすクラスメートが眼に入った。
「雨宿りなら今してるから…。」
わざわざ「どっか」に行く必要ないんじゃない?と続けようとしたが、クラスメート達の空気が瞬時重たいものへと変化した為口籠もった。