藤井秀一郎総受小説
□その答えはNGですか?
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2 「俺がいつそんな高慢な事言ったよ?お前の馬鹿な脳ミソには俺の言葉がそう聞こえていたとしたらもうちょっと程度を下げて喋ろうか?」
俺の言葉に、力也が箸を投げ出し、掴み掛かってくる。
「もー!ご飯の時に止めてよっ!」
「力也くん!ごめん!落ち着いてっ!僕が代わりに謝るからっ!」
初音の声とノブの声がかぶさるように発せられ力也の腕が俺の胸ぐらから引き剥がされる。
(別に殴られても良かったのに…。)
力也の腕にしがみ付いた心を見ながら胸の中で呟く 「俺さぁ、言ってる事間違ってる?」
俺の再度の言葉に力也が力一杯頭に拳を振り下ろしてきた。
一瞬、目の前が真っ白になった。
「いったーっ!頭は殴るなよっ!殴るんなら顔にしろっ!」
「顔もダメっしょ!!」
俺の言葉を遮るノブと心 「基本、お前は間違うとる!!」
力也の言葉に、箸を置く オブラートに包むノブや心とは違い力也なら絶対直球で俺の至らない点を教えてくれるだろう。
「お前、例えば頭良い奴と人生経験豊かな奴、どっちが賢い思う?」
力也の前に正座に座り直す俺に唐突な質問。
力也のくせに良い事言うな…と思った。
「人生経験豊か…」
「嘘じゃあ。」
「…な、頭良い奴。」
「ホレ見ぃ!っちゅーか人生経験豊かな頭良いやつってお前!最強やぞ!ソレ!」
力也はいちいち五月蝿い位の反応を見せたが俺が余りに普通と変わらない態度を見せるので呆れたのか脱力したように肩を落とした 俺の肩に手をかけ、
「お前…人の痛みとか判らんじゃろ?」
と、珍しく真剣な眼差しの力也。
正直、ぎくりとした。
「何で…判った?」
俺の言葉に力也どころか初音やノブや心まで「えっ!?」と言う顔をする。
太はポテトサラダを受け皿に乗せながら、余所事みたいな顔をしている。