藤井秀一郎総受小説
□自慢のカレシ
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3 「ハーフだよ。何処の国の血が入ってるのかは判らないんだ。お母さん、シングルマザーだったらしいから。
ね、お願いだから噂とか流さないでね?」
両手を合わせて頭を下げる。彼女は僕の情けない姿に更に笑みを深めると
「まっさかこの地味高地さんにあんな綺麗な彼女が居るとかそんな目立つ噂、されたくないよねぇ?」
と僕の横腹を肘で突いてくる。
「そんな事されたら君のロッカーに吐血するよ?」 彼女はケラケラ笑ったが僕は「マジ」だった。
バイトも終わり、店外へ出るとシュウが既に外で待っていた。
「お疲れ!」
軽く手を上げるシュウに手を上げて答える。
淡いピンクのTシャツにブラックジーンズ、ちょっとラフな格好の女の子…と言われたら見えなくないかもしれない。少なくとも僕にはどんな女の子より可愛く見えるし、日本人離れした顔立ちも金髪もやっぱり綺麗だ。
(僕が又地味だから…。) 思わず浮かぶ苦笑。
シュウは「何?」と覗き込んできた。
「ううん。シュウみたいに目立つ子と僕みたいな地味男が並んでたら周りがどんな風に見るかなって。」 そう言う僕のTシャツの裾をシュウがクイクイと引っ張る。
「何?」
今度は僕がこの台詞。
シュウは、言いにくそうに口をへの字に曲げて、それから僕を見上げた。
(自嘲すんなって殴られるのかな…。)
内心焦る。でも、シュウの瞳は何かを求めているような色だ。
(ホテル…行きたいのかな?)
なんて過ったけど、シュウはモジモジしながら小さな、小さな声で
「手…さぁ、握る?」
と言ってきた。
(うっそぉ!?このシュウが?てか、本当にシュウなの?実はシュウはUFOで連れ去られて、このシュウの中身はエイリアンとかかもしれない!)
疑ってしまう位日頃のシュウはサラッとクールなのだ。
「い…良い…の?」
恐る恐る手を差し出すと恥ずかしそうに俯きながら手を繋いできた。