藤井秀一郎総受小説

□ぼやき。
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 それなのに、俺は誰かに引きずり上げて貰える事をどこかで願ってる。
 くたばっちまえ!と思いながら…。

 一人は嫌だ。
 暗い事ばかり考えるから 早く誰か帰ってこいよ。 雨音だけが鳴り響く。
 人の騒めきにも似たその音が気持ちを更に寂しくさせる。
 
 「ただいまぁ!
 シュウ?あれ?居ないの?」
 聞き慣れたその声は、俺の悪態を一身に浴びても笑顔を絶やさぬ優男!
 思わず飛び起きる。
 真暗な部屋を駆け足で、彼の懐に飛び込む。
 「シュウ?
 どうしたの?真暗な部屋に居たの?」
 痩せた胸を力一杯抱き締める。
 「馬鹿!遅いよ!」
 淋しかったんだぞ!
 「ごめんよ〜。ソイラテ買ってきたよ。飲む?」
 ノブの唇を貪るように求める。
 「後で。
 今はノブが良い。」
 ノブが居れば、何も要らない。
 ノブも唇で応えてくれる 「今日はデレるんだ?」
 「うっさいよ!」
 黙ってお前は俺を抱いてりゃ良いんだよ。
 俺の世界は俺の為に回っていて、その中心にはノブが在る。
 俺の中のアイツは俺の世界を壊したがってる。
 だけど、仲間は…ノブだけは…壊させやしない。
 「ノブ、俺がさぁ、おかしな事したらひっぱたいてね?」
 ノブはTシャツを脱ぎ捨てながら「ひっぱたける訳ないじゃん。こんな可愛い子。」なんて笑った。
 俺、本気なのにな…。なんて思ったが何だかそれすらどうでも良くなった。
 暗い事は考えないでいよう。
 今は世界の中心を感じる事だけに集中しよう…。
 雨音がうるさく鳴り響いたが、今はもう耳にすら届かなかった。

************ 判ってるのに…つうのは判ってるフリしてるだけで実は納得出来てないんじゃないかとか、考えながら思ったり。
 シュウくんの…つうより子供の理不尽な想いを綴れたら、読みながら、ああ、判る!って我が事のように思いながら読んで貰えたら…を考えながら作成しましたが途中、こんなん自分やったら辛いやろなぁとかいう思考に流されました(笑)子供は何らかの不満を抱えてるもんです。つまり、大人になってもトラウマとしてひきずっている…。大人になるから忘れられる訳じゃなく、大人には勝手になれるけどトラウマは深く心に刻まれてる。だから…どうすれば解決するかも判らない未熟な安倍川が触れていいテーマじゃありませんでしたね。すみません。
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