藤井秀一郎総受小説
□何も変わらぬ空の下
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「シュウ!シューウ!」
今日は日曜日。時間は午前7時過ぎ…。
僕は、毎朝当たり前のように朝食の支度をしている筈の友人…であり同居人…であり僕の想い人の名前を叫びながら家中隈無く探して廻った。
キッチンには、彼が炊事した気配すら無かった。布団は空。冷たくなったシーツに、既に起きて何時間か経過している、もしくは、夕べ戻らなかった事を伺わせた。
僕の苛々は頂点に達していた。
どうして彼が居ないのか…。いつから居ないのか…。考えただけでおかしくなりそうな頭を振り乱し、もう一度大声でその名を呼ぶ。
「シューウ!」
僕が落ち着き無く騒いでいるのが耐えられなくなったのか、年長者のリキくんが寝室から出てきた。
「心!うっさいわい。朝っぱらから何じゃい!?」 リキくんは高校に進学せず、僕等の生活費の為に早朝から働いてくれてる。