藤井秀一郎総受小説

□ジキルな君も、ハイドな君も、
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ジキルな君も、ハイドな君も、 1   こんにちは。僕の名前は高地久信。みんなからはノブって呼ばれています。
 僕、今スッゴい悩みを抱えているんです。それは、好きな人の事…その好きな人って言うのが…男の子なんです!
 これって、大問題ですよね?クラスには可愛い女の子一杯居るしブラウスから下着が見えたらドキドキするんです!それなのに、そんな彼女達の比にならない位僕は彼が大好きなんです!
 
 彼とは小学4年の時、数ヶ月だけ離島の施設に住んでいました。色々あってほんの少ししか一緒に居られなかったけど島を出る時、彼は大怪我をおっていてリハビリが結構大変でした。6年になってまともに学校へは通えるようになったみたいだけど崖から落ちた事もあって、以来高い所が怖いらしいです。
 島から帰って、僕以外は親が引き取ってくれなかったので仲間6人はそのまま同じ施設に引き取られて、僕は彼とバラバラの場所で生活する事になりました。バラバラになって、僕の気持ちが更に強くなり彼に、二人で逢えないかと思い切って手紙を書いたのです。 彼と僕は中学一年生。
 彼はどんな風に変わったのか実はスッゴく楽しみだったりします!

 待ち合わせは、駅前のファーストフードショップ。気合い入れて待ち合わせの30分前に着いてしまいました。メンズ雑誌を今日の為に読んでおいたんです!そこにあった「全然待ってないよ。」と言う台詞が格好よくて是非言ってみたいんです!
 店内はザワザワしていて若い人ばっかり。僕みたいな冴えない人なんか居ません。お洒落したつもりなのに…全然ダメだった。
 小さくなりながら店内を進む僕に手招きしている人がいます。
 (わっ!シュウ!?)
 折角、全然待ってないよって台詞を用意していたのに、デートのお相手は早々に着いていたようです。
 テーブルには3冊のハードカバー。
 (まさか…これ全部読んだとか?)
 「シュウ、いつから居たの?」
 「待たせたらいけないから道を調べながら来たんだ思ったより早く着いて良かったよ。」
 あぁ…シュウのこの頭の回転の良さを忘れてたよ。 「しかし、ノブ元気そうで良かった!その後は発作出てないのか?」
 何も変わらないシュウの高い声。変声期もまだなんだなぁ…。
 発作って言うのは僕の持病、胃粘膜病変って病気でストレスで胃痛がしたり吐血したりしちゃうんです。
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