藤井秀一郎総受小説
□何も変わらぬ空の下
2ページ/7ページ
2 「リキくん、ごめん…。シュウが居ない。」
リキくんの腕に思わずしがみ付くリキくんは訝しげに眉を潜めながら
「あいつじゃったら、コンビニちゃうんかい?夕べ太が、廃棄のパンやるけん誰か取りに来るよう言いよったじゃろが。」
乱暴に髪を掻き毟るリキくん。
そんなリキくんを眺めながら、夕べ、口一杯に夕飯の鯖の竜田揚げを頬張りながら太くんがそういう話題を挙げていた事を思い出した。シュウに、「口一杯頬張りながら喋らない!」と叱られて、お茶を差し出されて、口の端に張りついていた竜田揚げの衣を取ってもらっていた。
それが、なんだか腹立たしくて、羨ましくてジッと眺めていた事を思い出す。 あんまりにもその様子に見入り過ぎて会話の内容等覚えてなかった。
太くんがバイトしてるコンビニはここから自転車で15分、シュウは自転車に乗れないから徒歩で30分と考えてももうすぐ帰る時間かな…。