脱色
□信じるのは…(後編)
1ページ/3ページ
「喜助ぇ、邪魔すんでー」
言うより早く隊首室の扉を開けると−
そこには、ひよ里を横抱きに抱えた、死覇装姿の喜助が。
よくみると、ひよ里は喜助の隊首羽織に包まれて、眼を閉じている。
「平子サン、しっ」
喜助が、静かに、と唇に指を当てて真子を制する。
「ひよ里サン、書類の整理しながらうとうとしてたんで…
ここ最近皆忙しくて、部屋でゆっくり休んでもらってなかったんス」
だから、今夜だけはと、このままひよ里を私室まで運んで休ませるつもりだったようだ。
その時の、喜助がひよ里を見つめる瞳が、とても優しくて。
一瞬、噂は実は真実なのでは、と、不安に駆られた。
不安?そうだ。ひよ里が自分以外の誰かと、自分以上に親しくなる。
入り込めなくなる。それが怖くて仕方ない。
「ええよ、喜助。まだ仕事終わっとらんのやろ?俺が連れてくわ」
「平子サンこそ、明日早いんでしょう?ちょうどひと区切りついたトコですし、ボクが」