脱色

□信じるのは…(後編)
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「喜助ぇ、邪魔すんでー」

言うより早く隊首室の扉を開けると−

そこには、ひよ里を横抱きに抱えた、死覇装姿の喜助が。

よくみると、ひよ里は喜助の隊首羽織に包まれて、眼を閉じている。

「平子サン、しっ」

喜助が、静かに、と唇に指を当てて真子を制する。

「ひよ里サン、書類の整理しながらうとうとしてたんで…
ここ最近皆忙しくて、部屋でゆっくり休んでもらってなかったんス」

だから、今夜だけはと、このままひよ里を私室まで運んで休ませるつもりだったようだ。

その時の、喜助がひよ里を見つめる瞳が、とても優しくて。

一瞬、噂は実は真実なのでは、と、不安に駆られた。

不安?そうだ。ひよ里が自分以外の誰かと、自分以上に親しくなる。

入り込めなくなる。それが怖くて仕方ない。

「ええよ、喜助。まだ仕事終わっとらんのやろ?俺が連れてくわ」

「平子サンこそ、明日早いんでしょう?ちょうどひと区切りついたトコですし、ボクが」
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