脱色

□平子真子、受難の一日(前編)
(平→ひよ←浦)
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「おーす、喜助、お疲れさーん」

いつものように技術開発局の研究室に入りこんだ真子の目を引いたのは、硝子の器に入った、薄桃色の液体だった。

「こんちはっス、平子サン。
今ちょっと手が離せないんで、その辺に腰掛けて待っててください」

おう、と応じて手近な椅子にどっかと腰を下ろし、薄桃色の液体が入った器に手を伸ばす。

ほぼ一杯に液体が満たされているから、飲みかけと云うことはなさそうだ。

「なあ喜助ー、これ飲んでええ?なんやめっちゃ喉渇いてんねん」

後から考えると、なんて軽率な事をしたものかというところだが、その時の真子は、なぜかそれが飲みたくて仕方なかったのだ。

「!待ってください!平子サ…!」

喜助が止める暇もあらばこそ。

薄桃色の液体を飲み干した真子の体は、まばゆく発光し始め−
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