脱色
□信じるのは…(後編)
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ひよ里を起こさないように小声でひよ里を取り合った末、
断る喜助を押し切った真子は、ひよ里を抱えて十二番隊隊舎の中を歩き出した。
そっとひよ里の部屋の障子を開けると、布団はよく片付いた部屋の隅に畳まれたままになっている。
布団を敷こうと、そっとひよ里を畳の上に降ろすと、ひよ里の寝息が一瞬乱れ、ん、と声が漏れる。
「し…んじ?」
「起こしたか、すまんのォ、いま布団敷くよって、寝てまい」
首だけ起こして、きょろきょろと辺りを見回す。まだ頭は寝ているのだろう。
「しごと…せな」
「心配あらへん。喜助が、今日は寝とけて」
ぽんぽん、とひよ里の頭を軽く叩くと、ん、と頷いて、再び眼を閉じた。
そっとひよ里を布団に横たえ、掛布団を掛けてやる。