脱色

□平子真子、受難の一日(前編)
(平→ひよ←浦)
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「喜助!」

どたどたと足音もやかましく研究室に飛び込んで来たのはひよ里だった。

「開発中の薬品、真子が飲んでしもうたんやて!?」

「そうなんっスよ、ほら、例の大虚(メノス・グランデ)でも無力化出来るように開発していた…」

ひよ里を振り返った喜助は、いつものへらっとした笑いを顔に張り付けている。

喜助の様子から、あまり深刻な事態にはなっていないらしいと察したひよ里は、ほっとため息をついた。

「それで、真子のハゲはどないしとんねん?腹でも壊して四番隊行きか?」

喜助がくすっと笑いを零し、研究室の奥へと向かう。

「ほら、平子サン、ひよ里サンも心配してることですし」

「いややー!ひよ里のやつ、俺がこんなんなったの見たら、絶対笑いよる!」

喜助が諭している相手はどうやら真子のようだが、それにしては声が妙に甲高い。

ひよ里は首を傾げた。
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