NP小説

□寝言
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「ねえちゃん、入るよ。」

フレディはレナの部屋にやってきた。
昨日アーウィンに出された課題が全部解けず、罰としてさらに倍の課題を出されたのだ。
涙目になるねえちゃんを不憫に思い、俺はこっそりねえちゃんの勉強を手伝うことにしたのだった。

「ねえちゃ〜ん…ねえちゃんてば!」

何度呼んでもノックしても返事はない。

フレディは不思議に思い、ドアノブを回す。

回った。
鍵はかかってないのだから中にはいるはず。
しかし女の子の部屋に無断で入るのには抵抗がある。
まして好きな子の部屋となれば尚更なのだが。

「…不用心だなあ。でもねえちゃんのことだからまさか!」

その予感がフレディを駆り立てた。

フレディは勢いよくドアを開け、

「ねえちゃん!!」

と叫び部屋に入っていった。

机にはレナがいた。
しかし返事はない。

「あ〜…、やっぱりだったか…。」

予感は的中したのだ。

フレディの予想通りレナは気持ちよさそうに寝息をたて、座ってペンを握りしめたまま眠っていた。

「ねえちゃん…。今日中に終わらせないとヤバいんじゃなかったの…?」

返事の代わりにすぴーすぴーという寝息が聞こえる。

「…もう、ねえちゃんてば。」

思わず笑いがこみ上げる。

しばらくレナの寝顔をじっと見つめる。

なかなかこんな機会はないからラッキーだ。
ねえちゃんには悪いけど。

長い睫毛にすけるような白い肌。
ふわふわの髪の毛。
思わず手を伸ばしたくなる。

そんなフレディの葛藤をよそにレナはまだ夢の中。

「ねえちゃん、てば。」

フレディがレナと向き合う。
そろそろ起こさないとまずい。

「起きてよ!課題やらないとにいちゃんにまた怒られるよ!」

軽く肩をつかみ揺さぶってみる。

「うう〜ん…フレディ…。」

あっ良かった…起きたんだ。

ほっとするフレディ。

「フレディ…、すき…。」

「えっ」

思わぬ言葉がレナの口から漏れる。

「ね、ねえちゃん?」

動揺を隠せずフレディがレナの顔を覗き込む。

「うう〜ん…、私強くなる…んで大好きなアーウィンとフレディを守ってみせるんだから…むにゃ。」

「あ…ね、寝言!?」

しかもにいちゃんと俺って…さっきの「好き」はそういう好きなんだ…。

残念なようなほっとしたような複雑な気持ちで体制を整える。

「俺は、ねえちゃんがすきだよ。一番、好きだからね。」

耳元でそうつぶやいた。
次の瞬間、

「う、うう…ん。」

「えっ」

レナが目を覚ましたのだ。

「ねっねえちゃ…!い、今の聞いてた!?」

「んー?あれ?なんでフレディがここに…?私勉強してて…。あ…私寝てた!?」

良かった…聞こえてなかったみたい…。

「だめじゃん、明日までに終わらすんでしょ。ほら、俺も手伝うから一緒に頑張ろ?」

「うう…年下のフレディに勉強までお世話になるなんて…。申し訳無さ過ぎるわ…」

「気にしない気にしない!それにねえちゃんは年上ってかんじしないから大丈夫!」

「なによそれ!うう…でも今回は一人じゃどうにもなりそうにないわ…。」

「俺に任せてよ。一応勉強はできるほうだと思うけど。」

「お願いします…」

不満そうにお願いしてくるねえちゃんが可愛くて思わず笑みが漏れた。

「任せなさい!ねえちゃんをにいちゃんから守ってあげる!」

「…ありがとう、フレディ。」

そしてやっと二人の勉強会が始まった。

end


おまけ有り
おまけ

次の日…

「レナ、珍しく全部できていますね。何かしましたか?」

「あ…じつはフレ…むぐっ」

フレディがレナの口をつぐんだ。

「あはは、徹夜で頑張ったらしいからさ!ねえちゃんもやればできる子なんだよ!」

フレディの無機質な笑顔がアーウィンの疑惑を一心に煽る。

「…わかりました。今回はそういうことにしておきましょう。次はないですからね。」

アーウィンの目が一瞬赤く光る。

こ、怖い…!!

おわり。

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