NP小説
□ぬくもり
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「うっ…寒い…。」
フレディと私はアーウィンにお使いを頼まれ外に出ていた。
吐く息は白く、まわりは白銀世界。
「こんな日に買い物へ行かせるなんて兄ちゃんもひどいよなあ…。まあまだ吹雪いてないだけマシか…。」
「そうね、でもフレディとこうして一緒に出かけられるの私嬉しいな。」
なんの躊躇いもなく本音をニコニコと話すレナ。
もちろんフレディは、
「えっ!!そ、そう?お、俺もねえちゃんと久しぶりに一緒で嬉しい…よ!!」
と嬉しさと焦りでしどろもどろになる。
「ふふふ、同じこと思ってるのってなんだか心があったかいね。」
そのレナのほんわか笑顔にフレディは釘付けになる。
『か、かわいい…!』
「ん?どうかした?」
「なんでも…ない!!」
「そう?ならいいけど風邪ひいちゃダメだよフレディ!あ、でも、もしひいたら私の血でなお…」
「それは禁止事項ですから!!」
キッパリと告げた。
「さてはて、何を買ってくればいいのやら…。」
アーウィンに半ば無理やり渡されたお使いメモを見る。
★人参
★じゃがいも
★豚肉
★はちみつ
★白滝
★玉ねぎ
★レーズン
★ちくわ
★スッポンの生き血
と書いてあった。
「なにこれ…肉じゃが…の材料にしては微妙に違うし…ちくわ…?スッポンの生き血は兄ちゃんにしてもまだ(人間のじゃないだけ)かわいいけど…。」
レナがひょいと覗き込む。
「あっ今日はカレーね!!アーウィンのカレーおいしいのよ!楽しみ〜!」
えっ、カレー!?
ちくわと白滝は!?
フレディはその後しばらく無言のままちくわと白滝が口の中で戦う想像をしていた。
「材料は私買い慣れてるから任せてね!」
「あっうん。サポートお願いします。」
こうしているとなんだか夫婦みたいだなあと思った矢先、
「あら、仲のいい姉弟ねえ。」
「かわいいねえ」
とおばちゃん達の声がした。
フレディは自分の身長を恨んだ。
買い物を終えると外はちらちらと雪が降り始めていた。
「わあ降ってきた!」
レナが嬉しそうに走りだした。
「あっねえちゃん、あんまり走ると転ぶ…。」
遅かった。
レナはフレディが声をかけた瞬間狙っていたかのようにすこーんと転んだ。
「ねえちゃん!!」
荷物を放り投げレナに駆け寄るフレディ。
ああだからいわんこっちゃない…。
「いたた…」
「大丈夫?ねえちゃん!」
どうやらしりもちをついただけのようだ。
「良かった…もうねえちゃんてば…、本当に危なっかしいんだから…。」
「えへへ…つい…雪がとってもきれいだったから…。」
そう言って照れ笑いを浮かべるレナ。
「立てる?」
「うん。」
レナに手を差し出すフレディ。
その手をしっかり握るレナ。
「よいしょっと。」
フレディがレナを引っ張り、
ぽすっ
と自分の胸にレナを招き入れた。
「!フレディ…?」
「あったかいでしょ?」
「うん…。」
レナが俯く。
照れているのだろうか。頬がほんのり赤い。
「私はあったかくなくてごめんね…。」
冥使だから体温のないことを気にする。人との温度差は大きくて。
でも、
「そんなわけないじゃん!」
「え…?でも私…こんなに冷たいのに…」
「ねえちゃんとこうしてるだけで俺体温あがりまくりだよ!だからこうして少し冷ましてもらわないとね!」
そうしてレナの手をぎゅっと握る。
「俺の手あったかいでしょ?ねえちゃんのせいだよ。」
フレディはいたずらっぽく笑うと、私の耳元で、
「だから責任、とってね。」
と囁いた。
耳元から一気にあかりが灯っていく気がした。
end
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