NP小説
□眠り姫には、
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「ねえちゃん、ねえちゃん!」
「…うう〜ん…あと30分だけ…むにゃむにゃ。」
俺はねえちゃんの部屋に来ていた。
勉強で分からないところがあるからまた教えてほしいと頼まれたから仕事を終わらせたあと急いでねえちゃんの部屋にやってきたわけだ。
ついてみたらこの有り様…。
勉強は…見るからにはあまりはかどってはいないようだ。
目の前で眠る金色の髪の少女はとても気持ちよさそうに眠っている。
時折、うふふと笑ったりする。
うーん…やばいな。
あまり見ていると変な気持ちになりそうなのであまり目線をそちらに向けないよう努力する。
「ねえちゃんー、勉強するんじゃなかったんですかー?」
返事の代わりに心地よい寝息が聞こえてくる。
いくら冥使になって夜行性になったからって今はもう夕方の五時だ。そろそろ起きてもいい頃だろう。
「まったくねえちゃんは…。マイペースというかなんというか。」
そんなレナのペースに巻き込まれるのもまんざらではないのですが。
「おーい、レナー?起きなきゃキスしちゃうよー?」
冗談めかして言ってみた。
そういえば…眠り姫って王子のキスで目覚めるんだっけ…?
ふとそんなことが頭をよぎる。
いやいやあれは物語だろう。作り物!俺は何を考えているのやら…。
ははっと乾いた笑いを浮かべるフレディ。
横ではレナが何かむにゃむにゃとしゃべっている。
「ふれでぃ…ありがとう…。」
何の夢を見ているのやら、俺の名前を呼ぶなんて。
そんなに無防備だとこっちが参っちゃうよ。全く。
自然と手がレナの髪へと伸びさらさらとかきあげる。
「ふふっ、くすぐったいよ、フレディ…」
「えっ、レナ起きて…?」
「…すぴーぃぃ…。」
「なんだまた寝言かあ…、くすぐったいって…俺は犬かい…。」
ちょっとかくっとうなだれる。
「仕方ないから今日はこれで勘弁してあげるよ。」
そう言って優しくレナの頬にキスをした。
「次は容赦しないからね、レナ。」
そういってレナの頭をなでた。
レナの王子になれるそのときは。
end