NP小説
□オリオン
1ページ/5ページ
今日は2月14日。
最近ねえちゃんが俺に対してなんとなくよそよそしい気がしてたけどこのためだったのか、と当日になってから気づいた。
キッチンに入ろうとしたらものすごい勢いで止められたり。
机の上にあった色とりどりのラッピング素材を必死で隠そうとしていたり。
思う箇所は沢山あったのに。
俺は大人のなかで育ったせいかそういうイベントにあまり親しみがなかった。
まして年の近い女の子なんていないしあまりチョコレートはもらったことがなかった。
我ながら鈍いなあと思いながら、またねえちゃんからのチョコレートを期待している自分になんとなくむずかゆさを覚えるのだった。
居間のほうにだれか入ってきたようだ。
にいちゃんと…ねえちゃん。
何やら二人でこそこそと話をしているようだったので入り込むのはやめた。
「…でね、…から…ほしいの…」
「冗談はやめて下さい、そんなもの食べたら死んでしまいます。」
「う…。」
にいちゃんの声がはっきり聞こえたのに対しレナの声はか細くあまり聞き取れなかったがレナの表情をみて泣きそうなくらい悲しい顔をしているのが見て取れた。