ゾルママ原作前
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雨降りの夜、キキョウとシルバは寝室にいた。
「どうした、キキョウ」
シルバは突然擦り寄ってきたキキョウに、少し驚きながら抱きしめる。
「、、、あたしが訊きたいかも」
なんか背中がすーすーする、と背中を預けるような体制、後ろから抱きしめてもらう形にする。
「まあ、オレとしては嬉しい限りだ」
「う、ん、、、落ち着く」
「そうか」
「お母さん」
「ままっ」
きゅう、と抱き着いてきた二人の愛しい子供達。
キキョウは背中をシルバに預けたまま、どうしたの?と問い掛ければ、なんだか寂しかった、という答えが返ってきた。
より一層抱き着いてくる子供達をシルバとキキョウは一緒に抱きしめて、笑った。
なんだ、寂しかったのか。
「母さんとお揃いだな」
「ママとお揃いだね」
二人して言って、なんのことだかよくわかっていない子供達を、それぞれ一人ずつ抱き上げる。
今日はみんなで一緒に眠ろう。
夫婦のベッドは広い。
けれどいつもより狭くて暖かいだろう。
そうして、寂しさなんて感じないくらい、暖かくて、幸せなんだろう。
家族の寝顔が、いっそう穏やかで、幸せそうであったのは、月だけが知ること。