【小さな嘘】※人魚の世界より
『に、兄さん!』
「どうしたの満月?」
コート設備点検の為、部活が無く
花に水をやったり読書をして暇を持て余していた俺のもとにどことなく緊張した顔をした満月が声をかけてきた
『あ、あのッ!
今日一緒に映画に行く予定だった友達が行けなくなって
だけど、チケットの期限が今日までだから…
その…
兄さんさえ良ければ…い、一緒に…』
そこまで言うと満月は恥ずかしそうに顔を伏せる
小さな声だったけれど確りと聞こえた
【兄さんさえ良ければ一緒に…】
俺を映画に誘ってくれてる?
「(クスッ)ねぇ、満月俺ちょうど上着が欲しかったんだ
だから、"一緒に"映画行くついでに俺の買い物に付き合ってくれないかな?
出来れば、満月に選んで欲しいんだ」
満月が俺を誘ってくれて事が嬉しくてついつい我が儘を言ってしまった。
『…ッ!!。うん!!』
だけど満月は嬉しそうに満面の笑みで頷いてくれた。
『じゃぁ、ちょっと用意してくるからちょっと待っててね兄さん!!』
そう言って満月は、嬉しそうに階段を駆け上がって行った。
「満月と二人で出掛けるなんて久し振りだな…」
ついつい顔が綻んでしまう
「(全くこれじゃ王者も形無しだ)
じゃぁ、俺も上着とってこないとな」
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