飛竜.
□けれど、それが守られる事はなく
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「…ドジっちゃったなぁー…」
誰も居ない廃屋の中で、私はポツリとそう言葉を零す。
私は任務の為、とある施設での調査活動をしていた。
だがその調査の途中、施設の中に居た…施設の従業員や警備員ではない、おそらく雇われた傭兵のようなものであろう人物と鉢合わせてしまい、戦闘になってしまった。
相手はかなりの実力者だったようで倒す事は出来たものの、此方も相当の深手を負い、これでは任務を続ける事は難しいと判断した私は、施設を後にして先ずは一旦身を隠そうとこの廃屋へとやって来たのだ。
立っているのももう限界で、私は近くの壁に背を預けると、そのままズルズルと下へ落ちるように座り込む。
怪我をした箇所が脈を打つようにズキズキと痛み、熱い。
そして目の前の視界がぼんやりと霞んでいてはっきりとしない。
……寒い。
血が流れ過ぎているのだろうか、怪我を負った箇所以外が冷水に浸かった時のような寒さを感じる。
………、ヤバイ、な…。
どうやら、私の身体は思っていたより重症のようだ。
早く、治療しなければ…。
こんな、ところで…死ぬわけにはいかない…。
だって…約束、したから。
消えないって…
彼の……飛燕の隣に、居るって。
だから、動いて…私の身体。
そう思うけれど私の身体は思う通りに動きはしない。
それどころか私の体内からはカチリという機械音と、火薬の臭いがしはじめる。
おそらく、体内に埋め込まれている体内爆弾が起動してしまったのだろう。
こうなってしまっては助かる手段は他に無い。私の身体は後少しで爆発してしまうだろう。
「……約束、守れなかったや……」
勝手に消えないって言ったのに……
隣に居ると約束したのに……
……ごめん、ごめんね、飛燕……
「……私は…嘘つきだ……」
そう呟いたと同時に私の中で爆発音が響いた。
けれど、それが守られる事はなく
謝っても謝っても…キミに、謝り足りないや。
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