TOA

□許されない
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伝えることも
守ることも
想うことさえも

許されない───


とある日の午後。
木にもたれ掛かって休んでいる僕。
小鳥のさえずりが心地よく耳に響き、風はざわざわと枝を揺らす。
春の陽気に包まれながら、僕はぼんやりと空を眺める。

そして、僕の傍には・・・アリエッタが眠っていた。

すやすやと寝息をたて、幸せそうに眠る彼女。

でも、僕は知っている。

彼女の夢に出てくる人間は・・・いつだって決まっているんだ。


「イ・・オン・・様・・」

アリエッタは寝言を呟き、少し寝息を荒げた。

「ど・・こ・・?・・イ・・オン様・・・行かないで・・・」

幸せそうな寝顔は消える。

そして・・・一筋の涙が零れた。

「嫌・・・イオン・・様・・お願い・・です・・アリエッタと・・一緒に・・」

・・・いい加減聞き飽きた。

そう思いながらも、僕はゆっくりと彼女に触れた。

柔らかい肌も。
冷たくなった髪も。
壊れてしまいそうな細い身体も。

───僕のものになることは決してない。
    
彼女はきっと、僕を通してイオンを度々思い出すのだろう。

顔も、声も、髪の色も・・・何もかもそっくりな僕とイオン。

でも、あいつとは違う。
僕には・・・何もかも、許されない。

伝えることも。
守ることも。
想うことさえも。



だって僕は───空っぽなんだから。

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