短編

□精神疾走
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ふわりふわふわ浮く心。ああ、此処は夢の中なのか、なんて自分で感心する。


見えるのは幼馴染のあいつと話す私の姿。すごく仲がよさそうに笑いあって。なんだ?これ。あいつ、あんな顔して笑うのか?そうなのか?
ふっ、とあいつが爽やかに微笑む。そんな貌1度だって見たことなかったからドキッとして胸が高鳴った。
長い腕を首の後ろに回してお気に入りの逆十字のネックレスを外す。その代わりに首を飾ったのは綺麗な漆黒の羽がメインのネックレス。驚きを隠せない私に再び微笑むと顔をあいつの方に向かされる。そのままぐいっと引っ張られ――――――――――







「うぉあわぁ!!」


キス。なんて。どんだけロマンチストなんだ。馬鹿か。死ね。あ、これ取り消しの方向で。




―ピンポーン―

良い感じの音程で響いたチャイム
はいぃ!と返事をして階段を駆け下りる。が、運悪く脚を滑らせてしまった。痛いかな、なんて呑気に考え体を強張らせる。
すぽっなんていう床にぶつかるには軽すぎる音がして強張らせた体を少し解いた。


「なにしてんでィ。」


聞きなれた声が後ろから響いて顔をあげる。予想していたとおり幼馴染の総悟が受け止めてくれていた。


「ちょ、なに勝手に入ってんの!?親が居ないのをいいことに!」

「いいじゃねえか。」

「よくない!!」


何時もどおりの軽い言い争い。ふ、と顔を上げるとまた背が高くなったかのように思える。うん。ベビーフェイスの女顔だけど男の子なんだなぁ。
そこで脳裏に過ぎったのはあの夢。え?あれ?ちょ、私、総悟と・・・キ・・・・、


「ぎゃぁあああああ!!!!」

「うわっ、なんでィ。」


うわうわうわうわ!!!!何余計な事考えてんだ!いやいやいやいや!!え?私総悟の事そんなに好きだったけ?そうだったけ?好きなの?そうなのぉぉぉぉ!?


「大丈夫かィ。ほら、さっさと準備しなせェ。もう8時半でさァ。」

「マジでかぁああ!!あんた何の為に着たのぉ!?もう遅刻じゃん!?」

「はぁ、仕方ないねェ・・・。待っててやるから速く着替えなせェ。」

「あぁぁぁぁぁ!!いいよ!先行ってて!」

「速くしねせェ。待ってるから。」

「いやいやいやいやいや、君、人の話聞いてたか!?行ってていい、」

「俺がすきで待ってるんでィ。」


その言葉に息がつまる。もう、やだな。なんか気恥ずかしいというか。ああ、顔赤くないかな。あぁああぁぁあ!!!







遅刻するココロ
(何時も私のココロは)(感情より)(遅れて到着する)

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