短編

□君の世界が壊れた
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どくん、どくん……

嗚呼、きっと私は死ぬんだなあ……

でも、最後にこれだけ言わせて、ベル…


「愛してる……」




その言葉がたとえ、君の届かなくとも



愛してたのは、わたしだけなの?
心が軋む、音がした。


向けられたナイフの矛先は、しっかり私の胸元に向いていて。

嗚呼、殺されるんだな、なんて呑気に考えてた。

正直言うと、避ける気なんてさらさらにない。仕方ないでしょ?

殺されてもいい、なんて狂った考えができるほどに惚れ込んでたんだから。

一歩、一歩ゆっくり近づいてくるベル。

なにを怒っているのかは、わからない。

でも、その誰のものかわからない血がついたナイフに、刺されるんだろうな。

近づいてきたベルは、そっと私の唇にキスする。それを拒まないで答えると、首筋にそっと、冷たいものがあたった。

「ごめんな」ベルが言う。

普段謝らないのにどうしたの?

「生きるのが嫌なんだ」ベルが言う。

その声は何時もより、温かみがある気がしたけど、同時に冷たさもあった。

ちょうど、私もベルと一緒のこと考えてたの。そういうと微かに微笑む。

一思いに、ナイフを私の腹につきさしたベルは狂ったように自分にもナイフをつきさし、私の隣に倒れこんできた。

そうだね、どうせなら君と一緒に逝きたいかな。



君の世界が壊れた
それと同時に私の世界も壊れた。

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