短編

□赤と青
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赤い色は、彼女にもっとも不釣合いな色だった。

青みがかったさらさらの黒髪に、サファイア・ブルーの美しい瞳。

彼女には青色が1番あっていた。


澄んだ空のような青、禍々しい、にごったような青。

彼女はそれを、飲み込んで自分に変えてしまう。


彼女に赤は似合わない。
なのに、今は体中真っ赤で、毒々しいほどに秀麗だ。

この赤は、彼女のすべてを飲み込んでしまいそうで。

大好きなサファイア・ブルーの瞳まで汚されてしまうんじゃないかと、彼女に近寄り赤を拭き取る。


ふき取っても、また、零れてくる赤に、サファイア・ブルーの瞳も赤く染まった。








苦しい悲しい死にたい生きたい快楽溺れる死にたい生きたい泣きたい

矛盾する気持ちを吐き出して、手についている手錠をジャラジャラ鳴らして私は泣き叫ぶ。

出して、出して!!

監禁されて何日たっただろうか?
めちゃくちゃに抱かれて、めちゃくちゃに甘い快楽を与えられて。

でも、そんなものより、なにより綱吉に会わせて!

って私は叫ぶ。

目の前にオッドアイの瞳の彼は形のいい唇を綺麗に歪ませて微笑む。

何故、僕じゃないんですか?

って。酷く悲しそうな顔でこっちを見て、狂ったような笑いを私に吹きかける。


綱吉と私はフィアンセだった。
私は綱吉を愛していたし、綱吉も私を愛してくれていた。
今頃、きっと綱吉と結婚していたはずなのに、なのに、彼がそれを引き裂いた。

無力な私はそのまま拉致されて、監禁されて。泣き喚くことしかできない。

なんで?なんで骸さんが…?
応援してくれてたじゃない、なのに何で?きっと綱吉だって、私を探してくれてるよだからお願い、ここから出して!

そんなに、僕じゃだめですか?

貴方も大切なの、でも、綱吉、綱吉じゃなきゃ……!!


ぐざ、と鈍い音がした。
もう、気がついたときには体が刻まれている感覚しかなくて、痛みは不思議と感じなくて。


にっこり、と笑った骸さんの口から零れた言葉は、




「愛してます」



のあやまち
の偽り


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