08/02の日記

20:54
めも
---------------
映画『カポーティ』(2005年アメリカ)

観よう。
と思い立ってから、気づけば8年近くが経過してしまい、今さらながら観てみたら、ものすごくわたしのストライクゾーンをぶち抜いてくる作品で、いたく感動した。
そして『冷血』を読み、その面白さに唸り、また映画を観返し、ペリー・スミスという人間に、いつの間にか惹かれていくのでありました。
カポーティ自身、ペリーに対して思い入れがあったのだから、当然ペリーが(殺人犯とはいえ)魅力的な描かれ方をしているのは贔屓目もあるのだろうけど、何がいいって、その人間を演じたクリフトン・コリンズ・Jr. が素晴らしすぎて。
猟奇的で不気味、孤独で繊細、狡猾と純粋、鋭利と柔和、残忍なのに優しい、そういう矛盾した人物像が、まんま表れてて、この人ペリーを演じるために生まれてきたんじゃないのかってぐらい。
これ、カポーティ役のフィリップがアカデミー賞とったけど、わたしはクリフトンにも助演男優賞あげたいよ。
控えで目立たないのに、存在感が際立つ。
しかも、どことなく頼りなさそうに見えて、実は上腕二頭筋がすごいっていうギャップつき。(わたしの趣味の問題)
映画の中では、カポーティもペリーも、お互いがお互いをうまく利用できたらいいと思ってる部分があるし、その本心をあまり隠さないし、でも別の部分では、心を許せる友達になりたいとも本気で思ってる。
っていう心理が、一定の波で続く。
終始淡々としていて、どこがクライマックスなのかと問われれば、ここであると明確に提示することもできず、もしくは、あらゆるところがクライマックスだとも言える。
地味だけど丁寧。そんな印象。
映画を観たら小説が読みたくなる。
小説を呼んだら映画が観たくなる。
ノンフィクションだからというより、ひとつの物語として、とても優れているのではないでしょうか。
などと感じる今日この頃。

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ