ウルフ(パラレル)
□神さま 閑話休題
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神さま 閑話休題
「なあなあ。昼飯何食べたい?」
「むぅ。」
「は?」
返事ができなかった事に、意味はない。手についたガムテープが、なかなかとれなくて集中していたのだ。
なにやっとん。とウルフウッドは、段ボールの上で何やら書いていた手を止める。すたすたと歩いてくると、なぜか両腕に絡まって手錠のようになってしまったガムテープをのぞきこんでため息をつく。
「、、、こ〜ゆん好き?」
「、、、嫌いではない。」
「、、、、、。」
なぜか、沈黙が流れたので、正直過ぎたか。と反省した。
「はさみどこやったかな?」
ウルフウッドは近くの段ボールを探して、銀色のはさみを取り出す。その耳が赤い気がするが、きのせいだろうか。
ジャキジャキとガムテープを切って、ばりっと剥がす。少し乱雑に丸めたガムテープをごみ袋に放った。
放物線を描くガムテープに、目をやっていたので、ウルフウッドが近づいたことに気付かなかった。
「なあなあ。なに食べたい?」
「近くないか?」
「ええから。何がええ?」
あと、2センチくらいで、頬がくっつくだろう。囁くように聞かれる。
「オム、、ん〜、オム、。」
「オムライス?」
「違う。オム、レツ?」
「ふうん。中にご飯入れてええ?」
「かまわん。」
にやりと笑われた。なぜかは分からない。
引っ越しを手伝ってくれたお礼にと、キッチンにこもるウルフウッド。
トントンとかジュウジュウとか聞こえてくるので、そわそわする。
ウルフウッドにお願いされて、長すぎるカーテンを縫っているのに、気が散って何回か針を指に刺してしまった。
そのたびに、キッチンからウルフウッドがとんでくるので、嬉しい。
しかし、先にカーテンを確認するのはなぜだ。
むっとしていたらしい。
むってなっとるよ。と頬に唇が触れる距離で言われる。すぐににっこり笑ってご機嫌さんやね。と言われる。ご機嫌か?不機嫌は消えたな。
ふと、意識を逸らしていると、ちゅ。と触れてくる。
「もう出来るわ。待っとり。」
に。と笑うとキッチンへ戻って行った。
煙草に火を付ける指先にそっと、目をやる。
ベランダに出るための戸を開け放って座り込んでいる。
ウルフウッドは食事を終えて、かなり上機嫌の様に見える。
明るい光と、春の風が暖かい昼下がり。
満腹な為か、ナイブズは眠気を感じ始めた。カーテンは綺麗に縫い終わったし、だいたいの荷物はほどき終えた。
「ちょっと横んなる?朝から疲れたやんなぁ」
そんな様子に、ウルフウッドは煙草を消して立ち上がると、しまったばかりの布団を取り出して敷き始める。
ばったり横になると、敷いたばかりのふとんのひんやりさが心地好かった。
「煙草。未成年」
「はは。ばれた?秘密やで」
くすくす笑いを聞きながら、ゆっくり意識が落ちていくのが分かった。