ポップ長編

□ビー玉の軌跡V
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ビー玉の軌跡V







あの日唐突に、我々の光は奪われたのだ。




地の底に落とされた我々を待っていたものは、






同胞を喰い尽くすしか術のない地獄であったー。













昼間でも太陽の光が差し込むことはない、地底深くに潜み、仲間を疑い、妬み、裏切る世界に生きる。








仲間に裏切られ、はらわたが食い荒らされる。




最後の言葉の通じる仲間が息を引き取ったとき




あの方は、優しく微笑んでいた。




我を指差し、麗しき声が、最期を告げるのだ。







我々に、約束の地を与えるのではなかったのか。




このような場所が、約束の地であるはずがない。






我らを地の底へ追いやり、光さえ与えもしない。



我らを卑劣で下等な生物に成り下がらせた。














神よ













赦すことなどできない。







我の慟哭に、大地が震えるたび、神々は眉をひそめる。








赦さない。







赦さない。




これは涙などではなく、同胞の血と肉と、憎しみの奔流だ。






叫べども、叫べども。










もう誰も応えるもののいない。言葉さえ理解することが出来ない。




弱く愚かな仲間たちよ





今はもう地に飲み込まれ、姿さえない同胞よ。









我は、決めたのだ。







全てを奪い、そして、全てを手に入れてみせよう。




我もすでに、正気などではないのかもしれない。






繰り返す。



夜の闇に、幾つもの悪夢が繰り返される。













ふう。と吐息を吐いて目が覚めた。


しかし、暗闇は明けないままー。
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