□君といる時間〜決別〜
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『ずっと傍にいる』って


何度も言ってくれてたのに。


突然、目の前から消えてしまうなんて。






「っ…!!」

大量の汗と共に目を覚ます。

(また、同じ夢、か…)

日も昇り始めた朝6時。

11月に入り、朝晩は冷え込むようになってきたというのに、ユフィは汗をかきながら体を起こした。

はぁ、と一度息を吐き、隣で眠っているはずのクラウドをそっと見る。

そう、『はず』だったのに。

「クラウド…?」

いない。

ユフィは慌ててベッドから出ると、部屋を出て階段を降りた。

「クラウド…クラウド…!」

リビングにも、キッチンにもクラウドの姿は見えない。

夢と、同じ…。

「ど、こ…?」

クラウドが自分の前から消えてしまう夢。

一週間程、ユフィは毎日同じ夢を見ていた。

そして、毎日大量の汗で目が覚める。

…嫌な予感がした。

ユフィがクラウドを探しに行こうと靴を履こうとした時。

「ユフィ?」

「っ…」

振り向けば、風呂場から首にタオルを掛けて出てきたクラウド。

「こんな朝早くから出かけるのか?」

「ク、ラ…!」

「っ、どうした?」

ユフィは走ってクラウドに強く抱き着いた。

その存在を確かめるかのように。

「ユフィ…?何かあったのか?」

「も、少しだけ…このまま…」

「…………」

クラウドはユフィを優しく包むように抱き締め、髪にキスを落とした。




数分後、落ち着いたユフィはそっと離れ、クラウドの服の裾をきゅ、と掴んだ。

「大丈夫か?」

優しく囁かれた言葉にゆっくりと頷き、クラウドを見つめる。

その視線に、クラウドもさすがに心配になってくる。

「本当に大丈夫か…?」

「………クラウド、は…」

「ん?」

「どこにも、行かない…よね?」

「…………」

「クラウド…?」

「…どうして、そう思うんだ?」

「それ、は…」

思わず俯いてしまい、ユフィは口ごもった。

何と言って説明すればいいか分からない。

考え過ぎると、さらに不安が過ぎる…。

ユフィが上手く言えずにいると、クラウドは彼女を姫抱きし、2階の寝室へと運んだ。

「クラウド…?」

そっとユフィをベッドに横たわらせ、クラウドは彼女を組み敷いた。

「抱いてもいいか?」

「…まだ、朝だけど…」

「優しくするから…」

「…………」

近付いてきたクラウドの首に腕を回し、そっと唇を合わせた…。
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