□君といる時間〜逢瀬〜
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故郷、ウータイ。

半年前、ユフィはここへ帰ってきた。

彼への想いを忘れる為に。

忘れる為に…帰ってきたはずなのに。

「駄目だぁ…」

自室の布団で仰向けになる。

目を閉じても、思い浮かぶのは…愛しいクラウドの姿。

この半年間、一瞬たりとも忘れた事なんてなかった。

…忘れる事なんて出来なかった。

「あー、もう!」

がばっと起き上がり、外へ出る。

外へ出ると、夕日が沈む頃だった。

ユフィが歩いていると、6歳くらいの男の子がうずくまっているのが見えた。

「大丈夫?」

傍に寄り肩に手を置くと、男の子が顔を上げた。

「っ…アンタ…」

ユフィの目に映ったのは、男の子の頬から首まで侵されている、膿のようなもの。

星痕症候群だった。

「アンタ、母さんや父さんは?」

ユフィの言葉に、男の子は弱々しく首を横に振る。

「…僕、いらないって言われて…せいこんしょうこうぐんってのが移るから、もう、帰ってくるなって」

「何、ソレ…」

何て身勝手な両親だ。

星痕症候群に掛かっている人は、この半年間で急激に増えている。

治し方も分からない。

患者は、未来の光が見えないのだ。

「アンタ、名前は?」

「リク…」

「よし、リク!あたしと一緒においで!」

「え…?」

「あたしが面倒見てやるよ。ほら!」

「っ…うん!」

「あたしはユフィ。よろしくな!」

2人が手を繋ぎ、目を合わせて笑うとユフィの携帯が鳴った。

クラウドかと思い、慌ててポケットから携帯を出す。

発信者はティファだった。

「ティファ、どしたの?」

『ユフィ!?実は………』

「…………え…?」

電話が切れると、ユフィはリクの手をしっかりと握って走り出した。
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