□君といる時間〜穏和〜
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「ぱーぱ?」

「……………は?」

一体、何が起こったのか。

そして、クラウドの目の前にいる子供は一体誰なのか。

ついさっき目を覚ましたら、隣で寝ているはずのユフィはいなかった。
その代わりに…目を擦りながら起きたのは、ユフィによく似た子供。

「…ユフィ、なのか?」

「うー?」

首を傾げながら大きな瞳で見つめられる。
そして、すぐにぱぁっ、と明るい笑顔を向けられた。

「ふぃ!ゆふぃ!」

ベッドの上で跳ねながらクラウドに抱き着く。
クラウドはしっかりと抱き留め、ユフィと思われる子供をじっと見つめた。

(…確かにユフィ、だな…)

子供が着ているのは昨日ユフィが着ていたTシャツ。ぶかぶかで今にも首元から脱げそうだが。
そして、疑惑が確信に変わったのは、子供の首に付いている鮮やかなキスマーク。
昨日の夜にクラウドが付けたものだ。

(どうしてこんな事に…?)

考えられるのは、ただ一つ。

昨日の昼、食材を買いに行った2人は、アパートまで帰る道程である屋台を見つけた。

売っていたのは、『ハイパーポーション』という、ポーションの新しい種類だ。

クラウドはいかにも怪しいと思い、無視して帰ろうとしたのだ。

5月の終わりだという事もあり、この日は暑かった。
ユフィはいつの間にかクラウドの隣からいなくなっていて、あのポーションを飲み干していた。

その時にはユフィに異変はなかったのだが、夜になってクラウドが彼女の首に痕を残し、いつものように迫ろうとしたら。
『調子が悪い』と言って先に眠ってしまったのだ。

クラウドは風邪だと思い込んでいたのに、朝起きたらこの有様だ。

(…間違いなく、あのポーションのせいだな)

今からあの屋台の所へ行こうとしたのだが、ああいうのはすぐに撤退してしまう。
今行ってもどうせいないだろう。

「ぱぱー?」

ユフィが大きな瞳で見上げてくるのに気付き、髪を撫でてやる。

待てよ。
その前に俺は…。

「ユフィ」

「?」

「俺は、父親じゃないんだ」

「?」

駄目だ。ちっとも分かってくれる気配がない。

「ぱーぱ。ぱぱ!」

はぁ、と溜め息をつき、クラウドは一先ず携帯を手に取った。
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