□君といる時間〜受難〜
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「夏祭り?」

「そ!夏祭り。来週ウータイでやるんだけどさ、せっかくだから行こうよ。クラウド、夏祭り知らないでしょ」

7月中旬。

仕事も終わり、食事、風呂も済ませたクラウドとユフィはいつものようにリビングで今日の仕事のまとめをしていた。

「確かに初めて聞くな…。どんな事をやるんだ?」

「それは行ってからのお楽しみ。ね、いーでしょ?」

「仕方ないな…」







そして、夏祭り当日。

2人は昼過ぎにウータイに着いた。

街の中心では夕方から始まる夏祭りの屋台の準備がされていて、大勢の人が集まっていた。

そして、2人がその横を過ぎようとした時。

「ユフィー!」

どこからか聞いた事のある声が聞こえる。

「ユフィ、気にするな」

「うん」

2人はその声の主の方を見ようとはせず、前を向いて歩き無視しようとした。

「おいおいユフィ!無視する事ないだろー!?」

「っ…最悪…」

声の主…そう、ユウキは後ろから勢い良くユフィの肩を抱いた。

(もー!いい加減に…)

ユフィがユウキの腹部に肘打ちをしようとした時だった。

「離れろ」

「お?」

クラウドの低い声と共にユウキがユフィから剥がされる。

ユウキはクラウドにニヤニヤしながら近付いた。

(あー、もう…変な事言わないでよね…)

「あんた、涼しい顔してやる事は大胆なんだな」

「…………」

以前、2人がウータイに来た時の事。
クラウドはユウキの目の前でユフィに口付けたのだ。
それはクラウドの嫉妬から来たもので。
ユフィを喜ばせる事に成功したのだった。

「話は終わりか?ユフィ、行くぞ」

「あ、うん」

クラウドはユウキを無視し、先を歩く。
ユフィもクラウドに続いて隣に付いた。

…が、ユウキは彼女の手を掴み、引き止めた。

「ユウキ…?」

初めて見る真剣なユウキの瞳。
ユフィは思わずその瞳を見つめた。

…その様子をクラウドに見られている事も知らずに。

「今日の夏祭り、一緒に回ろう」

「あ…あたし、クラウドと回るから…」

「でも俺、あの橋で待ってる」

「ユウキ…」

「じゃあな!」

手を振り、ユウキは屋台の準備の手伝いへと走っていった。

(…急にあんな真剣に言われても…困る…)

いつもみたいにふざけながら言えば、あたしだって追い払えたのに…。

「…ユフィ」

「っ、え、あ…」
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