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□A New Day@
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「あー、今日もあっついなー」
ユフィ・キサラギ16歳。
家を一歩出て茹だるような暑さの太陽を溜め息をつきながら一瞥した。
まだ6月下旬だというのに、先程の天気予報で言っていた最高気温は34度。
ユフィは部活の朝練に行く為、毎日6時に家を出る。
もちろん、今日も。
バスケットボール部に所属するユフィ。
ユフィの通うウータイ高等学校は毎年全国大会に出場する程の強豪チームで、彼女はエースとして2年生ながらもレギュラーで出場している。
学校までの道を歩きながら、ユフィは携帯でメールを打っていた。
宛先:ティファ
件名:おはよ〜!
本文:ごめん!いつもの事だけど、今日の課題写させて!
んじゃ、お互い朝練頑張ろーね!
「これでよし、と」
送信ボタンを押しながら、角を曲がった瞬間。
「っ!!」
ドン!と誰かにぶつかり、ユフィは尻餅を着く。
「いったー…」
「悪い、大丈夫か」
「もー!ちゃんと前見て歩け…」
手を差し延べてくれた人物に噛み付く勢いで言い放とうとしたが、その人を視界に捕えた瞬間、言葉を失った。
「どこか痛めたのか?」
「え、と…だ、大丈夫、です!」
差し出された手を握ろうとはせず、真っ赤な顔で立ち上がる。
鮮やかな金色の髪、神秘的な蒼い瞳、端正すぎる顔立ち、色気のある声。
そして、しっかりと鍛えた体。
スーツを着ていても、よく分かる。
そんな完璧な男が目の前にいたら、誰でも顔は真っ赤になる。
そして、立ち上がったユフィは急に感じた足首の痛みに顔を歪め、電柱に寄り掛かった。
「っ、わっ…な、何してんのアンタ…!」
突然ふわっと体が宙に浮き、ユフィは思わず声を上げた。
男がユフィを姫抱きする形になったのだ。
「俺のせいだからな。学校までこのまま行く」
「べっ、別にいい!アンタも会社行くんじゃないの!?」
「その制服、ウータイだろう。俺もそこに用事があるんだ」
「え、何で?」
「…さあな」
「何ソレ…、って降ろせー!」
結局ユフィはこのまま学校へと向かう事になってしまったのだった。