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□A New DayA
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「へー、あの人だったんだぁ」
HRが終わり、1時限目が始まるまでの僅かな時間。
ユフィはいつものように後ろを向き、足を広げて椅子を跨いで座り、背もたれに肘を置いてはぁ、と溜め息をついた。
(…まぁ、驚いたけどさ)
でも。
内心は…嬉しかった。
好き、とかそういう事ではなくて、ユフィにとって初めて興味のある男だったから。
朝練を見学している時も、集中しなければいけないのに、頭の中はあのクラウドの事で一杯だった。
「…お礼、しなきゃな」
授業も4時限目まで終わり、昼休憩。
「ごめんねユフィ、空手部でミーティングがあるみたいだから行ってくるね」
「はいはーい」
弁当を食べ終わり、ティファを見送るとユフィは立ち上がった。
(ジュースでも買いに行こっと)
教室を出て足に違和感を感じながらも自販機のある外へと向かう。
100ギルを自販機へ投入して選んだのは、いつものスポーツドリンク。
ユフィはそれを飲みながら、今度は屋上へ続く階段を昇った。
『立入禁止』と書かれた文を無視して扉を開け、屋上へと辿り着く。
「…鍵ぐらい掛けとけっての」
ふぅ、と息を吐きながら歩みを進めると、大きな注水タンクから人の影が見えた。
(先客…?)
そっと覗き込むと、そこには。
「あ…」
タンクにもたれて居眠りをする、新しい副担任…クラウド・ストライフ。
(…センセーのくせに立入禁止のとこに入ってきちゃ駄目じゃん)
缶を置き、クラウドに近付いて顔を覗き込む。
朝はちゃんと見れなかったけれど…。
(うわ…)
綺麗、の一言だった。
切れ長の睫毛がぴく、と動くとユフィは思わずふふ、と笑ってしまった。
「…そんなに面白いか」
「わぁっ!」
クラウドから突然発せられた言葉に、ユフィはずざざっと後ろへ下がる。
「人の寝顔を覗くなんて悪趣味だな」
「ち、違っ…アンタがそんなとこで寝てるから…」
クラウドは軽く欠伸をすると、傍にあったユフィのスポーツドリンクを手に取って一口飲んだ。
それを見たユフィは…
「そ、それあたしの!」
「あぁ、悪い…」
平謝りしながらクラウドはユフィのスポーツドリンクを置き、反対側にあった同じドリンクを手に取って飲み始めた。
(一緒だったのか…)
何故か、嬉しくなった。
理由は…ユフィには分からない。
「あ…そういえば…」
「どうした」
「朝、ありがと」
「朝?」
「学校まで送ってくれたじゃん」
「あぁ、気にするな」
ふ、と笑いながら言うクラウド。
笑った顔も、綺麗で。