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□A New DayE
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「お邪魔しまーす」
スーパーから歩いて約15分。
見た目も綺麗なアパートに着いた2人は、階段を昇り一室の扉を開けて中へ入った。
「へー…」
クラウドの部屋は、広めの1LDK。
リビング、キッチンの他に寝室があった。
そして、やはりクラウド。
綺麗に物が整頓してあり、埃すらないように感じられる。
「それじゃ、キッチン借りるね」
「あぁ」
クラウドは鞄を置き返事をすると、シュ、とネクタイを緩めながら寝室へと歩いていった。
ユフィはキッチンへ移動し、スーパーで買った食材を出す。
「よーし、やるか」
手を洗い、野菜等を手際良く切っていくユフィ。
私服に着替えリビングに姿を現したクラウドは、キッチンで楽しそうに調理をするユフィを見て思わず顔が緩んだ。
(俺は…)
彼女を、どうしたい?
昨日会ったばかりなのに、彼女といると本当の自分を出している事に気付いた。
(だが、アイツは生徒だ)
クラウドもまた、越えてはいけないラインに戸惑っていた。
(駄目だ…余計な事は考えるな)
そう、自分に言い聞かせる。
自分達はあくまでも、教師と生徒。
「………ねぇってば!」
「あ…」
ユフィに呼ばれ、ハッと我に返る。
何度も呼んでいたらしく、少しイライラした様子だった。
クラウドは『悪い』と言いながらキッチンにいるユフィに近付く。
「どうした?」
「ナツメグってある?」
「何だそれは…」
「知らないよねぇ…ま、いっか」
ユフィはブツブツ言いながら再び調理を始めた。
その様子を、クラウドは壁にもたれながら後ろから見守る。
キッチンに立つユフィは、いつも見ているよりも、小柄で。
言葉使いは悪いけれど、女らしい所も沢山ある。
(…って、何を考えているんだ…俺は…)
はぁ、と溜め息をつき、冷蔵庫を開けて缶ビールを手に取る。
プシュ、とプルタブを開ける音が心地良い。
「あれ、アンタ酒飲むんだ」
「あぁ」
すると、ユフィは笑いながらクラウドに近付き、ビールを指差す。
「お前、まさか…」
「そ。そのまさか」
「駄目に決まってるだろう」
「えー、いーじゃん!」
「…俺は教師だ。そんな事許すはずない」
缶ビールをユフィが届かない高い棚の上に置く。
すると、ユフィは意地になったのか背伸びをしてそれを取ろうとした。